社会人剣道への誘い

そろそろ新社会人も職場に慣れた頃かと思います。
そこでいかがでしょう、剣道への回帰を検討してみませんか?

少年剣道の指導者でありながらこういうことを言ってしまうのはどうかとも思うのですが、そこを忘れて率直に申してしまいますと、剣道は大人のものです。

青少年期における知育・徳育・体育の場として剣道が有効であることや、試合競技としての剣道がどうしても中学・高校・大学のそれにスポットライトが当たってしまうため、剣道が青少年のものであり、剣道の主役が青少年であるかのように(剣道界内外問わず)思われがちですが、そうではないのです。

段位制度ひとつ取ってもそれが分かります。

初段審査の受審資格を得られるのが満13歳。
どんな天才少年剣士が現れても13歳未満の者には段位を与えません。

初段合格後、1年以上の修行を得て二段審査の受審資格が得られますから、二段最年少合格年齢は満14歳となります。

以下、二段審査と同様に現段位合格後の修業年数が定められてます関係により、三段最年少は満16歳、四段最年少は満19歳、五段最年少は満23歳となりますので、留年なしでの大学卒業の年齢=22歳までに取得できるのは四段までなのです。

続けますと、六段最年少は満28歳、七段最年少は満34歳となり、最高位である八段審査の受審資格は七段合格後10年以上の修業に加えまして満46歳以上という年齢制限がありますので、八段最年少は満46歳ということになります。

どんなに早熟な天才剣士でも最高位に到達するのは中高年になってから。
つまり、剣道の段位は強さの指標であるより先に、修行深度の指標であり、それを社会に活かすことが求められているからこその年齢制限なのです。

この段位制度設計は、剣道が大人の嗜みとして設計されていることの証左であると言えます。いわゆる遅剣さんやリバ剣さんが、剣道を始めた我が子の姿に触発されて剣道を始めたくなるのも至極自然なことと言えるでしょう。

※遅剣さん……少年剣道や学生剣道出身者より遅く(社会人になってから)剣道を始められた方のこと

※リバ剣さん……学校卒業後、長いブランクを経て剣道を再開された方のこと


年齢以外で、学生剣道・学校剣道・少年剣道と社会人剣道の何が違うかと申しますと、自律性にほかなりません。

少年剣道では道場を選べるといっても、それは親の意向や都合が強く反映されます。
学生は学業が本分ですから、入学した学校や大学の剣道部が自分の趣向と異なるからといって、おいそれと退学転校するわけには参りません。

対して社会人剣道では道場を自由に選べますし、何なら剣道に対する志向を共にする仲間と剣友会を作ってしまってもよいのです。稽古相手も稽古回数も稽古時間も稽古内容も稽古目的も稽古場所も、全てが自分自身の責任において自由。
これは社会人剣道ならではのことです。

また、社会人剣道は多様性に溢れてます。
全日本出場や高段位取得を目指して道を極めんとする剣道がある一方で、充実した余暇を過ごすための第二道場(稽古後の反省会という名の飲み会w)をメインとする剣道もあります。この両者は対極に存在すると思われがちですが、両者を行き来する剣士は多々おられますし、同じ道場で共存する場合さえもあります。

この融通無碍な社会人剣道に踏む入れないまま少年剣道や中学高校剣道、あるいは学生剣道で終えてしまうのは実にもったいないことでありますよ。

学生剣道で竹刀を置くことなく、ぜひ、社会人剣道にお進みください。




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