死点なき素振りの考察
Twitterでツボヤキしてましたけれども、2月初旬、剣道教室レクの引率でのアイススケートにて後ろ手を着くという最悪の転び方をしてしまい、右手首を骨折してしまいました。
すでに骨折は癒えたのですが、いつまで経っても痛みが治まらないのでMRIで診てもらいましたところTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)でした。治るまであと3ヶ月くらい覚悟して、ですって。
TFCCは小指側の小さな腱でして、クルマを運転する時の左折やドアノブを廻すような動作をすると痛いのですが、野球で言うところのシュートボールを投げる時のような捻る動作さえしなければ痛みは走りません。
というわけで、まっすぐなメン、まっすぐなコテのみに制限されているストレスフルな稽古をしている今日この頃なのです。
しかしながら、やれることが限られますと思考の方が深くなりまして、お題に挙げました「死点なき素振り」などというものを考察してました。
今回の記事はそのメモ書きみたいなもので、たぶん結論に至ってないのですが、公開することで得られるものを期待しつつUPしてみようかと。
絵心が無いので図面的なものになってしまいましたが、下の図は左側面からみた左腕と竹刀の動きとして見てください。
そう言われてみればそう見えるでしょ。A^^;
素振りは竹刀を振りかぶって振り下ろすことの繰り返しですから、剣道の指導教本のまま素直に素振りを行いますと、剣先は上図における破線矢印に表わされる動き方をします。
つまり、振りかぶりによる上後方への動きから、振り下ろすための下前方への動きへと、真逆の動きに切り替えることにより、スピードとパワーの双方がゼロになる点が生じます。
これを「死点」と呼ぶことにしますが、この死点が生じている時間が長い打突ほど対応しやすのです。
ところがですね、死点を感じさせない打突を遣われる高段位の先生は多々お見受けします。
で、そういう先生方には、傍目には大きくゆったりした打突なのに、唐竹割りでメンに載られてしまう。
死点をいわゆる「タメ」に使うアスリーター型の剣士と稽古する場合、その速さに目が慣れてしまえば打突を防ぐことが可能となるのに対し(あ、慣れるまでにボコボコにされますけどw)、高段位の先生による死点というアクセントの無い打突には魅入られるように打たれてしまうのですよね。
おそらくは、不老の剣を得るには死点なき打突が必要であり、それを得るためには死点なき素振りが必要なのだと思うのです。
では、死点なき素振りはどういう形になるのか?
前出の図における始点(構え)・中継点(振りかぶり)・終点(打突)の3点は同じとしても、剣先が描く軌跡がおそらくこうなるのではないか?
というのが下図になります。
振りかぶりから打突へ向かう剣先が描く軌道よりも、少しだけ内側に軌跡を描く形で振りかぶることによって、先に挙げた図では死点となっていた部分をRにするのです。
これにより、剣先軌道のどの部分でも、肩・ヒジ・手首のうち少なくとも1つは必ず動いている形になってますので、パワーはともかくスピードはゼロにならず、死点が解消されてます。
また、先出の図では剣先の軌跡(とくに振りかぶりの起動)が肩を中心とする円弧、すなわちドアスイングとなっていたのに対し、肩・ヒジ・手首の協調動作により直線に近い軌跡になってますので、剣先の動く距離が短くなった分だけ早く(速くではない)打突できます。
この理論は起こりを抑えたメン(いわゆる差しメン)にも通じます。
小中学生には左手首を軸にして右手の作用のみで打つメンをよく見ますが、右手で後ろ上方に引き、同じ右手で前下方に振るわけですから死点が生じます。
これを、左腕と右腕の協調動作により死点をRにすれば剣先の軌跡が直線に近いものとなり、剣先の動く距離が短くなった分だけ早く打突できる。という理論。
メンドクサイので図解はしませんけどね。A^^;
さて、この理論が正しいか否かは稽古で実践しないといけません。
リハビリを頑張ります。