試合場内の人員配置に対する疑問

最近、剣道の試合場内の人員配置って今の形で良いのかなぁと思うようになりまして。

現在の基本的な試合場内の人員配置をおさらいしておきますと、

___正面___

副審____副審

__白__赤__

___主審___

というような、正面から試合を見やすい配置になっております。

正面には審判長や主催者等を置きますけれども、体育館を会場とする場合はステージを正面とする関係もありまして、観客を正面に配置することはあまり行われません。

多くの場合、観客は向正面に配置されることになるわけですが、主審の背中越しに試合を見るという形から察せられるように、観客および客席は試合会場の付け足しでしかないのですよ。


江戸時代の御前試合を想像して頂くと、この配置の理由が分かるような気がします。

正面には殿様が座っておられるのですよ。
おそらく副審は居ないと思いますが、主審の位置に立会人として藩の剣術師範。

で、見せもの=興行ではありませんから、立会人の後ろは殿様の家紋が入った幔幕で仕切られまして、見物人はおりません。そこに対決する両雄が入場、立会人を含む三者が殿様に一礼して、立会人の「勝負一本!はじめ!」で御前試合が始まる……といったシチュエーションでありますよ。

こんな感じかな。

___殿様___

__白__赤__

___師範___
幔幕----幡幕

現代剣道における試合場内の人員配置も、基本的にこの形のままなのでしょうね。


ところがところが。
前述のシチュエーションですが、とくに時代劇を見る人には違和感があったのではないでしょうか?

そうなのです。時代劇と実際の御前試合では配置が異なるのです。時代劇は視聴者に見て頂かねばなりませんのでね。

時代劇ですと、まず最初に立会人を務める師範が殿様の前に進み出まして、挨拶をするのですな。

殿様「師であるその方から見てこの勝負はどうなると思うな?」
師範「ハッ、双方五分の力でありますゆえに、勝負は長引きましょう」

みたいな言葉を交わして後、クルリと殿様に背を向けますと、対決する両雄が入場。両雄の殿さまへの礼を立会人である師範も受ける立ち位置になります。つまり、殿様の名代として御前試合を裁くという形にするわけですよ。

こうすることにより、カメラの画面で両雄の対決を追う中で立会人である師範がカメラ前を横切ったりすることがなくなりますし、1つの画面に全員の表情を納められるようにもなるのですよね。

さらには、時代劇ですから対決する両雄に赤白はないのですが、人物設定上で格上の者を上手にあたる左に置くことになりますので、現代剣道で言うところの赤白の選手の位置は左右反対になります。

まとめますと、こんな配置です。

___殿様___

___師範___

__赤__白__

↑↑↑↑↑↑↑↑視聴者視点

これを現代剣道の試合場に当て嵌めますと、

___正面___

___主審___

__赤__白__

副審____副審

観客観客観客観客
観客観客観客観客

という配置になりまして、とても観戦しやすくなると思うのですが…


こんなことを考えますのは何故かと申しますと、剣道界の内外を問わず、もっともっと剣道を観て頂きたいのですよ。

少子高齢化が進む日本で剣道人口を保つため、1人でも多くの方々に剣道を観て頂き、少しでも興味を持って頂くことは重要で
す。

また、国際化が進み、東京五輪を迎える中、スポーツという大きなうねりの中に競技剣道の部分だけが取り込まれることなく、武道としての特性や、日本の文化性を保ち続けるためにも、より多くの方々に観て頂くことが必要です。

しかしながら、プロ組織を抱えているメジャースポーツが初めから観客ありきで試合会場が設計されているのに対し、剣道の試合会場設計や人員配置は前述したとおり観客視点がほとんど考慮されてません。

例えば、体育館の観客席は、バレーボールやバスケットボールなどを観戦するのには適した配置ですが、剣道を観戦するには遠過ぎます。
なので試合場のあるフロアに降りて観戦したいものですけれども、大概の大会は試合関係者以外は降りてはいかーんという処置だったりするのですよ。

メジャースポーツと比べたとき、このハンデは小さなものとは言えないでしょう。

もちろん、試合は見せものではなく、あくまでも錬成のための一手段であるという主張もまた真ではありますが、公の場で開催される剣道大会についてはもっと観る側にオープンな形のものに改めるべき時期に来てるのではないかと愚考します。

いかがなものでありましょうか?




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