最高峰の審判技術を観て学ぼう

11月3日の全日本剣道選手権大会目前であります。
13:00〜15:30までNHK「BS1」、15:30〜17:30までNHK「総合」にて放送が予定されています。また、YouTube全剣連チャンネルでの動画配信、YouTubeライブでのライブ配信も予定されてますので、1回戦から堪能できます。お楽しみに。

さて、同大会は剣道界の最高峰と呼ぶべき大会の1つであり、NHKにより全国にライブ放映される唯一の剣道大会でもありますから、剣道界の外からのものも含めた注目を集めること必至なわけですけれども、剣道関係の皆様には最高峰の審判技術にもご注目を頂きたいところです。


剣道における審判技術の最たるところは立ち位置に尽きると思ってます。

審判は、主審1名+副審2名、計3名の審判により構成される三角形によって、常に試合する選手を囲んでいる形を維持しなければなりません。

その三角形は主審を頂点とし、副審2名の間を底辺とする二等辺三角形であることが理想とされ、角度の異なる3方向の視点から判定することによって、精度を担保する仕組みになってます。

しかしながら、私も少年剣道や中学剣道の審判を務めますけれども、この二等辺三角形を維持することは意外なまでに至難の業です。
視野を広く保ち、選手2名はもちろんのこと、他2名の審判の位置を常に意識しなければなりませんし、判定しやすい位置を得るためといえども自分勝手に動いてはならず、他2名の審判と協力して選手を囲う意識を途切れることなく働かせ続けなければなりません。

私が審判を務める県単位までの少年剣道や地区単位までの中学剣道では、他2名の審判の先生に恵まれたとしても、二等辺三角形の維持率は50%に届かないでしょうね。決勝の指名審判レベルでも60%程度ではないでしょうか?
(もちろん感覚数値です。誰かデータを取って数値化してください A^^;)

対して、少なくともここ数年における全日本選手権の審判を務められる先生方の立ち位置はとても理想的で、パーフェクトと言っても過言とは思いません。二等辺三角形が崩れる場面をほとんど見た覚えがありません。維持率にして80%を超えるのではと思うほどに鉄壁のフォーメーションです。

全日本選手権での審判立ち位置

全日本選手権での審判立ち位置(2014)


実はこの驚きは全日本選手権が初見ではなく、もう10年くらい前になる社会体育指導員養成講習(初級)の中で受けた驚きが初見になります。

この2泊3日のガチンコ講習における1単位として審判実技講習があったのですが、その際に3人の範士が模範審判を実施してみせてくれたのです。

3人とも全日本選手権の審判員経験者でしたが、とにかく先読みが凄い。常に選手の動きの2~3手くらい先を読んで動き、それがまったく外れません。さらには合図して動いているかのように3人の範士審判が同時に動くことで、選手が激しく動いても、3人の範士審判が描く綺麗な二等辺三角形はまったく崩れないまま、囲みから選手を逃しません。

で、さぁ貴方たちもやってごらんなさいと言われたって、我々受講生は試合が始まって10秒もしたらもう二等辺三角形が崩れてしまう。それだけ凄い芸当なのです。


今年も大会後にネット上で蔓延るであろう審判批判の中に、審判員の動体視力を疑問視し、もっと若手の登用を訴える声があるだろうと予想しますけれども、適正な立ち位置からの視点を得なければ動体視力もへったくれもないわけです。

また、剣道の一本は打突という”点”ではなく、「充実した気勢」を起点、「残心」を終点とする”線”で判定するものです。

常に適正な立ち位置を得て、一本を”線”で判定するには、審判員は己の持つ知見を総動員して両選手の心身の動きを先読みする必要があり、それを可能とするためには深い知見と膨大な経験が必要となりますから、メジャースポーツ競技の審判と比較して高齢であるのも仕方ないことではないかと思います。

立ち位置の他にも、姿勢、所作、上下動の少ない移動、歓声に動じない判定、ポーカーフェイス、などなど、全日本剣道選手権審判員の先生方から学べることは山のようにあります。ぜひ、審判員にも注目して頂きたいものです。

それでもなお誤審として指摘したい衝動に駆られました際には、審判員の労を頂いた先生方への礼儀を欠くことなく建設的な意見を述べて頂きたいと願ってます。

茨城県代表、結城尚武館出身、宮本敬太選手ガンバレ(o゜▽゜)o




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