素振りについての考察

※あくまでも考察であり、正解とは限りません、と、いつもの逃げ口上 A^^;

素振りという練習方法は野球やゴルフにもありますけれど、それらに比べて剣道の素振りという稽古は一種独特なものがあると思います。


素振りは、野球で言えば打撃フォーム、剣道で言えば打突姿勢を、理想の形に整えるために、何十回、何百回と反復するという点では野球も剣道も同じです。

しかし、野球の場合、素振りと実際の打撃との差異がほとんどありませんが、剣道の場合、素振りは自らの腕力で剣先を止めるのに対し、実際の打突は打突部位を打った際の反発を得て剣先が止まりますから、主に力学的な点で大きな差異があります。


その観点から申しますと、重い素振り用の木刀で筋トレのごとく振りまくる素振りをすることは、剣先を空間で止めるための筋力を過剰に発達させてしまうことにより、それとは逆方向の動作で使用する剣先を前に送るための筋力とのアンバランスが生じ、実際の打突におけるスピードとコントロールを阻害してしまう結果になりかねませんので、注意が必要です。

素振り用の木刀は、その重さをなるべく感じない振り方を模索しつつ、ゆったりと振るべきと思ってます。素振りの始点から終点までの間で、重さを感じた箇所に無理・ムラ・無駄が存在しますので、それを排除することで理想的な振り方を得ることができます。

ですので、あまり回数を多く振りますと、疲労によって振り方の改善箇所を感じにくくなってしまいますから、素振り用木刀による素振りの回数は腕に疲労感が残らない程度に抑えた方が良いと思います。


では、稽古で使用している竹刀による素振りはと申しますと、やはり実際に打突する際とは腕の筋力の使い方も手の内の作用も異なるわけです。

しかしながら剣道の場合、打ち損じた際には即、二の太刀や三の太刀といった次の攻撃や、防御姿勢に移ることがが求められますので、空振りという打ち損じの最たるものをしてしまった際にも体勢の崩れが起きないようにする必要があります。

つまり、素振りは空振りを想定した稽古であり、空振りをしても崩れない姿勢と落ちない剣先を得るための稽古とも言えます。

大概の素振りはメン打ちを想定した素振りになりますけれども、自分と同じ身長の選手を相手にしたときのメンの高さをしっかり想定し、その高さから10cmほど剣先を切り込んだ高さで竹刀を止めるという形に指導するのはこのためです。


とはいえ、素振り用の木刀に比べれば格段に軽い竹刀での素振りでも、やはり筋トレのごとく振りまくる素振りをしてしまえば、剣先を止めるための筋力と剣先を前に送るための筋力とのバランスを欠いてしまう危険性があることは同じです。

にも関わらず、クタクタになるまでの素振りが励行されがちなのは、主に精神的な修行として実施される素振りなのだと思うのです。

私はその効用を否定しませんし、むしろ武道には必要な要素と思っておりますが、それはそのような趣旨を共有した上で特別行事として行われるべきであり、競技に必要な運動機能の向上とは必ずしも直結しないという理解を根底に敷いた上での実施であるべきだと考えます。

そう考えますと、野球やゴルフといった打撃動作のあるスポーツにおける素振りのあり方に疑問が湧いてきますが、専門知識の無い分野について生兵法で口を挟むとロクなことになりませんのでやめておきます。A^^;


剣道の素振りに話を戻しますと、剣道の素振りは量より質というのが私の結論になります。無理のない本数を毎日実施することが肝要かと思います。

皆様はいかがお考えですか?


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