気になった力士について【春場所】

いつまでも春場所の余韻に浸っているわけにもいきませんので、気になった力士について雑多に取り上げて締めたいと思います。


まず、高安について。

12勝3敗という成績はもちろんのこと、勝った相撲の内容も含め、大関昇進に挑戦するに相応しい地力を証明しました。
ごく一部に、復調した横綱2人+嘉風に対する3連敗をもって連敗癖とかツラ相撲とかいう批判を聞きましたが、それはちと厳しいかと。

日馬富士の小股掬いで土俵に打ちつけられた際に脚を痛めたのではないか?という心配が杞憂に終わるならば、来場所の大関獲りは充分に可能でしょう。

大関昇進に際しましては、身体のスケールは異なりますけれども、64代横綱・曙のような相撲が理想なのではないかと思ってます。


琴奨菊について。

問題となった14日目の照ノ富士戦では、悔しさと憤りを変化した相手に向けるかのように二字口での相互礼もせずに土俵を降りましたけれども、悔やむべきは11日目の勢戦であり、憤るべきは己自身であるべきでした。

11日目の勢戦では、今場所は差し手のヒジの故障により絶不調の勢に対し、本来の低く鋭い立合ではなく、右上手を取りにいく取口を選択し、それが裏目かつ墓穴となって黒星を積み増したのでした。

中盤感想ではこれを「琴奨菊の大関復帰=10勝は11日目の黒星で消えたと思ってます。」「体が良くないのか、気持ちが弱くなったのか、いずれにせよそれをやらねばならないほどに追い込まれていることの証左。」と書きましたけれども、千秋楽の相撲で出足と馬力を示したことから身体の問題は大きくなく、照ノ富士戦での猪突猛進と土俵を降りる際の不作法から心の問題が大だったのではないかと考察しており、それを露呈させた11日目の勢戦がやはり悔やまれます。

残念ではありましたが、9勝を挙げましたので関脇には留まります。
大関復帰という目標とモチベーションは来場所も継続されますので、来場所はどのような相撲を見せてくれるのか、注目したいと思います。


蒼国来について。

初の幕内上位挑戦の場所は二桁黒星に終わり、跳ね返された形になりましたが、相撲人生初の夢舞台である結びの一番で日馬富士から金星を獲得したことは特筆の価値が充分にあります。

冤罪解雇から角界復帰までの2年半ものブランクを経て復帰できただけでも奇跡的なことなのに、三十路入りしてからジリジリと自己最高位番付を上げ、とうとう力士なら誰もが大きな目標とする結びの一番に登場すること得て、なおかつ金星を獲得したのです。

蒼国来の角界復帰を支援していた人達にとっては、今場所における稀勢の里の奇跡に匹敵する感動があったことでしょう。私でさえ感涙が溢れましたもん。

とは申せ、来場所の蒼国来は幕内下位からの再挑戦となります。転んでもタダでは起きない蒼国来ですから、来場所に注目します。


御嶽海について。

この力士の寄りという技芸はお見事の一言に尽きますね。
相手力士が引きを見せようものなら磁石で貼り付いたかのような間合ゼロの寄せで応じ、相手力士が左右どちらに回り込むのかをあらかじめ知っているかのように追い詰める姿には、感心するばかりです。

小結で勝ち越しましたが、関脇が3人とも勝ち越してしまいました。4人目の関脇…というわけにはいきませんかね? A^^;


遠藤について。

3場所連続の千秋楽負け越しを免れての8勝7敗。相撲内容は前2場所と比べて整っておりましたから、77で千秋楽を迎えたことは意外に思っております。

その一方、負けた相撲がよろしくなく、相手力士の馬力に簡単に屈するなど攻められたときの脆さに改良点が見えませんでした。
ヒザの故障が常態化してますから、それを前提にした対処を取らないと現状の打開は難しいのではないでしょうか。


貴ノ岩について。

過去に、たしか初の横綱大関総当たり戦となった場所で、自分の力を試さんとするかのごとき外連味のない相撲と負けっぷりの良さを称賛した記憶があるのですが、今場所の中盤から14日目までの貴ノ岩は立合に仕掛けるわ退きまくるわ突き落としまくるわで、これが同じ力士か?と思うほどの相撲っぷりの悪さに泣きたくなりました。

弟弟子の貴景勝が、かつての貴ノ岩のように一途な相撲を取っていたものですから、それと比べてあまりにも対象的な今場所の貴ノ岩には首をかしげるばかり。
ただ、千秋楽では「らしい」相撲を見せてくれたので、盛り上がっている貴乃花部屋の部屋頭として、来場所こそは本来の相撲を見せてくれるものと期待することにします。


豊響について。

大混戦の十両は14日目終了時点で5人が9勝で並び、千秋楽に9勝同士の対戦を2つ組んだ結果、巴戦による優勝決定戦となりました。

その巴戦で新十両・朝乃山を、次いで大砂嵐を押し出し、豊響が優勝。
豊響は右肩に稀勢の里のそれより大きなテーピングを施し、両ヒザにもサポーターといった具合で満身創痍ではありましたけれども、久々に観る平成の猛牛と呼ばれた突き押しの破壊力は健在なのが嬉しかった。

来場所は幕内復帰。とても楽しみにしております。


木村晃之助について。

今場所になって晃之助の行司が変わったわけではないと思うのですが、なぜか今場所は目に付いたので書いておこうかと。

目に付いたのは、土俵際の攻防における晃之助の姿勢と目線の低さです。
ヒザを砂で汚すことも厭わずに身をかがめ、勝敗の行方を全身全霊をもって追わんとする姿に感銘を受けました。

Twitter #sumo部では、立合前の「手を着いて!」がしつこく、くどいことで不評の目立つ晃之助ではありますが、やー、見直しましたよ。


木村寿之介について

昨年あたりから存在に気付いた寿之介の濃緑色の装束が良いのですよ。渋くてカッコイイ。寿之介の堅めな立居振舞にもマッチしてます。
でも、新緑の似合う夏場所までですかね。暑い名古屋場所や秋場所には合わないような気もします。


以上、各力士および行司についての散文をもって春場所総括を閉じます。
ではまた来場所で。(^^)/




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Comments (2)

  1. shin2

    木村晃之助は嫌われてはいないと思いますよ。ウルガスさんのツイートより引用すると、
    >>「手をついて!」(高音)
    「手をついて…」(低音)
    「手を!ついて!」(さらに高音)
    毎度吹き出すからメリハリつけてくるのほんとやめて欲しいwww

    全く上記の通りで、少々取組に集中できなくなることを除けば、大好きな行司さんです。
    もう一人、呼出しの名物男「次郎」がいますが、この人は、まあ、人には色々な個性があるということで。

    琴奨菊は十五日間戦う体力がなくなっているんじゃないか。昨年の春場所、横綱昇進の懸かった場所で八日目までは7勝1敗で九日目以降1勝6敗、結局8勝7敗で横綱獲り失敗に終わったわけですが、中日過ぎるとガクンと調子が落ちる。
    もともと体力とスピードで圧倒する相撲が持ち味の力士なので、ちょっと心配です。

    春場所は初日から十二日目までと、十三日目から千秋楽までが体感的に同じぐらいの長さだった。観てるほうもしんどかったが、明後日の4月2日からは春巡業が始まる。稀勢の里も照ノ富士も、白鵬も豪栄道も休場だが、巡業は続く。力士にシーズンオフはない。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      shin2さん、コメントありがとうございます♪
      遅レスで申し訳ありません。
       
      晃之助の
      >「手をついて!」(高音)
      >「手をついて…」(低音)
      >「手を!ついて!」(さらに高音)
      は、私は好きですよw
       
      >琴奨菊は十五日間戦う体力がなくなっているんじゃないか。
      同意です。
       
      春巡業、始まりましたね。
      力士にシーズンオフはないのですけど、ちょっと日程過密気味かとも思います。

      Reply

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