審判泣かせの逆胴

近年は小学生でも逆胴(左胴)を打つようになりましたけれども、有効打突と判定されて1本になるケースは極めて稀ですね。なぜ逆胴が1本になりづらいのかを審判視点で述べてみます。


逆胴は、打ちますとパシーンと大きな音が鳴って注目を集める反面、有効打突の要件を外しているケースが多いという、審判泣かせな技なのです。

まず、こういう話をする際には剣道試合審判規則の第12条をご確認ください。

[有効打突]
第12条
有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする。
(剣道の試合・審判のルール|剣道を知る|全日本剣道連盟より引用)

ここで述べられるところの「刃筋正しく」に該当しない逆胴が多いですね。審判経験上の感覚になりますが、小中学生の打つ逆胴のほとんどは「刃筋正しく」ない逆胴です。

誰しも胴打ちは正胴(右胴)から教わりますが、正胴はしっかり返し打ちすることで刃筋を正さないと竹刀が高鳴りする胴打ちにはなりません。審判としても胴打ちの音を有力な判定材料の1つとして使えます。

ところが逆胴は右手でビンタを張る要領で平打ちをしても竹刀が高鳴ります。審判としては胴打ちの音という判定材料の価値を下げざるえません。

で、なぜ逆胴を平打ちするか?ですが、逆胴の刃筋を得るために竹刀を開く過程を経ることなく打てるので面をガラ空きにして危険に身をさらす時間が短く済むとか、メン気配から転じて逆胴を打つなどの理由があるかと思います。

プレイヤーでもある剣道の審判は当然それを知ってますから、竹刀を開く過程があるか否かで「刃筋正しく打突」しているかを判定してます。

そして打った後の姿勢にも注目してます。
とくに引き技として逆胴を打ち抜いた後、左肩に竹刀を担ぐような姿勢になるなどして、竹刀の刃筋が逆胴を切った後には起こり得ない方向を向いているケースがわりと多く見られます。

その姿勢を堅持したまま「ドー!ドオォォォ!ドオォォォだぁぁぁ!」とアピられましても、審判としては「や、あなた自身が刃筋正しく打ってませんと言ってるよーなもんですやん(´・ω・`)」と冷めきっていたりすることも間々あるのです。


もう1つ、剣道試合審判規則第12条で述べられるところの「適正な姿勢」に該当しない逆胴もまた多いですね。

ここで言う「適正な姿勢」とは主に打突時の姿勢そのものを指しますが、相手と正対することも含まれます。
私などはホームラン胴と呼んでますが、逆胴の打点に対し、まるで野球のバッティングフォームのようにへそが横を向く逆胴では「適正な姿勢」とは言えないのです。

でも、相手と正対しないことでメンなどの追撃をかわすことができますし、打突に腰の回転による力も加わりますから、これまた大きな音がするのですよ。で、「ドー!ドオォォォ!ドオォォォだぁぁぁ!」の猛アピールと控え席からの大拍手、そして「何で今の旗上がらないの?」という空気。もー、旗を投げたくなりますよね。(投げませんけど。A^^;)


長々と書いてしまい、最後は愚痴になってしまいましたが、まとめます。

審判は逆胴に旗を上げる準備はしてますよ。
旗を上げてほしかったら「刃筋正しく」「適正な姿勢」で逆胴を打ってくださいね。

ということです。


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  1. Pingback: 旗の上がらない引き技とは? | 甚之介の剣道雑記帳2

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