柔能制剛 剛能断柔

※旧ブログ記事の焼き直しです。

Twitterで格言の類を定期投下してくれるbotをフォローしているのですが、その中で

「柔よく剛を制す」
よく言われることですが、やはり剣道をするときも体をかたくせず、リラックスしつつも集中してすべきなんでしょうね♪

という粒に違和感を覚えました。

『柔よく剛を制す』てのは「柔>剛」という意味ではなく、『剛よく柔を断つ』てのが後に続く言葉で、つまるところ『個性や長所は最大限に活かせなさいよ』という意味に私は捉えてます。

自分の理解が正しいか間違っているかは問題じゃなくって、好き嫌いの問題なのですけどね。

基本的に『長所は短所になり得るし、短所は長所になり得る』という考えが私は好きなので、先のbot粒に違和感を覚えただけなのでしょう。

じゃあ、正しいところの理解は?と思いまして、ちょいと調べてみました。


『柔よく剛を制す』の出展元は古代中国の兵法書『三略』なのですね。

その三略に『柔能制剛、剛能断柔』と書かれて・・・いません。A^^;

三略には以下のように書かれてます。

軍讖曰、柔能制剛、弱能制強。
柔者徳也、剛者賊也。
弱者人之所助、強者怨之所攻。

テキトーに現代語訳しますと、

『軍讖』という書物に「柔よく剛を制し、弱よく強を制す」とあります。
柔とは徳であり、剛とは賊であります。
弱は人に助けてもらますが、強は恨まれ攻められます。

あら「剛能断柔」が出てこない。私の認識は間違っていたのかな?
と思いきや、この後に続く言葉があるのですよ。

柔有所設、剛有所施、弱有所用、強有所加。
兼此四者、而制其冝。

テキトーな現代語訳をしますと、

柔を設けるべき機会があり、剛を施すべき機会があり、
弱を用いるべき機会があり、強を加えるべき機会があります。
これら四者を時と場合によって使い分けるのです。

お♪これこれ(嬉)
さすが出典元♪パーフェクトな答です♪


で、色々と調べているうちに行き着いたのは、『柔よく剛を制す』に続く『剛よく柔を断つ』というのは、柔道の創始者である嘉納治五郎先生が唱えた『柔剛一体』を分かりやすく伝えるための対句創作ではないか? というところ。

その対句を唱えたのは、嘉納先生ご自身とも門弟だった先生とも諸説ありましたけれども、出典元である三略で述べられていることを、短い対句でたいへん上手く表現できていると思います。

というわけで、認識をより深く改めた上で、今後も『柔よく剛を制す 剛よく柔を断つ』を用いたいと思います。


~追伸~
井の中の蛙大海を知らず されど空の高きを知る

これも出典元より後の時代の対句創作みたいです。

わりとこういう事例ってあるのでしょうね。
日本人らしいなぁ。A^^;




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