イチローとPローズを比較することの愚

イチローが日米通算安打数でピート・ローズの記録(4,256安打)を超えたというニュースですが、扱い方を誤ると間違ったメッセージになりかねませんので注意が必要です。

世界記録として認められるのかといえば、残念ながら否だと思います。
ギネス世界記録認定の通算本塁打記録はバリー・ボンズの762本塁打であり、王貞治の868本塁打があくまでもNPB記録に留められているのと同じ理屈。

ただ、王貞治が当時の米大リーグ記録であるハンク・アーロンの755本塁打を超えたとき、その当事者であるアーロンが祝意を表したことを筆頭に米国でもリスペクトを集めました。
王貞治の868本塁打は全て日本のセ・リーグでの記録でありますから、米大リーグの記録であるハンク・アーロンの755本塁打やバリー・ボンズの762本塁打とは完全に棲み分けられ、ベースボールの本家たらんとする米国のプライドを傷つける心配はないのです。

それに対し、すでに米大リーグでのキャリアの方が長いイチローが、日米通算という但し書き付きにせよピート・ローズの生涯安打数記録を更新した、しかも米大リーグ公式戦で更新したとされるとなれば、ローズ本人ならずとも穏やかでいられなくなるのは分かろうというものでありましょう。

記録は記録として正しく報じるのみでよろしく、球場で「記録更新」を目の当たりにした観客と同様にスタンディングオベーションでイチローを讃えることはしても、「ローズ超え」を強調してのお祭り騒ぎに発展させるような報じ方は慎むべきかと。偉大な記録に相応しい節度ある報道姿勢を望みたいものです。

中でも、ピート・ローズとイチローを比較するかのような記事や、もしイチローが米大リーグでキャリアスタートしていたらという仮想記事や、逆に、もしイチローが日本プロ野球在籍のままでいたらという仮想記事は、全く意味のない記事です。

全くキャリアの重ならないプレイヤーであるピート・ローズとイチローを比較したところで歴史ifにすらならないじゃないですか。

宮本武蔵と宮崎正裕はどちらが強いか?
雷電と白鵬が相撲を取ったらどちらが勝つか?
みたいなもので、戯言の域を出ません。

イチローが野手として日本人初のメジャー移籍だったことや、そのイチローもドラフト4位の選手だったことを知っているならば、「もし米大リーグでキャリアスタートしていたら?」というifは赤面ものでしょう。

「もしイチローが日本プロ野球在籍のままでいたら」はイチロー自身のモチベーションや青空天井の年俸を日本プロ野球が支えられるかを先にシミュレートした方がいいですよ。

まだまだ現役続行気配のイチローなのだから、その足を引っ張りかねないお祭り報道はやめましょうよ。


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