九州場所中盤戦考察

大相撲九州場所も十日目を終え、終盤戦へと移ります。
中盤戦を振り返りまして、今後を占ってみましょう。

○は白星、●は黒星。☆は対横綱戦勝利、◎は対大関戦勝利。
左から順に初日⇒十日目。


鶴竜 ○○○○○○○○○○全勝

中盤に入り相撲が変わってきました。立合の鋭さと前へ出る圧力が序盤より明らかに増してます。これによって、突いてよし、組んでよし、前に出るも退くもよしの自在性が発揮されており、横綱昇進直前の鶴竜が戻ってきた感がありますね。

この充実感、かつ無傷の単独トップで終盤戦に入るからには当然にして優勝候補筆頭なのでありますが、相撲は1人で取るわけではありませんから、そこはやはり横綱大関戦、不確定要素が多分にあろうかと思います。

不確定要素は「豪栄道の意地」「火事場の琴奨菊」「稀勢の覚醒」「日馬の勝負勘」「白鵬の外連味」といったところかと。
といったあたりを含めて各力士評を述べてみます。


白鵬 ○○○○○●○○○○9勝1敗

高安戦での負け様に絶対王者の衰えを感じさせたものですが、その後の厳しい取口と不作法で衰えを疑う声を払拭。

不作法とは言うまでもなく中日の取組のあの件。俵を割って土俵下に降りた照ノ富士を追いかけるように白鵬も降りて、小突くように照ノ富士の背を押した、あの件ですよ。

みなさん、あれをダメ押しと言うけれども、いや、違うでしょ。
ダメ押しというのは俵を割った直後の相手力士を押すなり突くなりすることであって、完全に土俵下に降りきった相手の背中を小突くなんてのは、ダメ押しでさえない愚行であり暴挙ですよ。

序盤の振り返りでも述べましたが、汗を拭かない、懸賞金を振り回す、などといった不作法の目立つ白鵬ではありましたけれども、ここまでの愚行を働くとは思いもよりませんでした。

大相撲が一番苦しいとき、揺らぎに揺らいだ屋台骨を一人で支えてくれた白鵬と、近年の不作法極まりない白鵬が同一人物に思えず、ツライですね。この横綱と今後どのように向き合えばよいのか、皆さんも戸惑っておられるのではないでしょうか?

さて「白鵬の外連味」ですが、白鵬は鶴竜と当たるのは千秋楽ですので、1差が付いている現在、千秋楽までは鶴竜より先に星を落とすわけにはいきません。こうなると、白鵬は外連味を発揮する傾向があります。

立合の突っかけ含みの駆け引き、張ってかち上げ、手繰ってとったり、などを駆使して星を拾いに走ることがこれまでもありました。(すでに昨日の一番も該当しますね)
今場所の不作法が自身の衰えに対する焦りであるのならば、順当であれば十二日目にあるであろう稀勢の里戦、千秋楽の鶴竜戦は要注意であり、予想が外れること、外れずとも対戦する両雄が白鵬の外連味にハマらないことを祈ってます。


日馬富士 ○○●●○○○○○◎8勝2敗

ね、序盤振り返りで言ったとおりじゃないの。体は動いているのだから、相撲勘さえ戻ればこのとおりですよ。まー、その、なんだ、稀勢の里贔屓としては複雑なんだけどさ。 orz

ただ、やはり万全ではない日馬なので、かなり注意を払って早い相撲を取っている感じはします。それが勝負勘の研ぎ澄ましにつながって、中盤での復調を得たのでは?

この無欲の勝負勘と復調ぶりが、終盤に押し迫って日馬と対戦する横綱には脅威でしょうね。


琴奨菊 ○○●●●○●●○◎5勝5敗

3横綱との対戦を残して5勝5敗。横綱を1人以上倒さないと角番です。

稀勢を相手に立合速攻で十分の形になりながら寄りきれなかったあたり、角番濃厚と言わざるえませんけれども、が、しかしであります。同部屋だった琴欧洲ともども何度も角番から大関陥落の危機に遭いながらも今なお大関の地位にあるのは、火事場のなんとやら的な力をここ一番で発揮して横綱に勝っちゃうケースが間々あるからなんですよね。十日目の豪栄道戦などはその典型でありましょう。

自分の相撲の型をしっかりと持つ者の強みですけれども、さて、競った終盤となる今場所もそれが観れるか否か、地元の声援を背に頑張る姿を応援したくなります。


稀勢の里 ○○○○●○○○○●8勝2敗

相撲内容が少しも良くならないのにあまり負けません。立合の緩さを突かれて碧山と日馬富士に一気に持っていかれた2つの黒星だけで済んでいるのが不思議。

まー、今まではその良くないところが1つでもあると、そこに付け込まれて確実に黒星を喫してきた稀勢の里でしたから、たまには勝利の女神様の気まぐれにあやかっても良いんじゃないかと。

もちろん、ラッキーなばかりではなく、勝因もありますよ。
序盤戦後にも少し書きましたが、足の送りと左の使い方が良いのです。とくに左右への反応がよろしく、ちょっとやそっとの投げでは裏返りませんし、左右への引きにもサッと対応できてます。

あとはいつ覚醒するか?ですね。昨日の完敗で覚醒してくれますかね?
おそらくは良い意味で腹八分の力で相撲を取ってきた序盤から中盤でしたから、そのリミッターが終盤のどこで外れるのか?これに注目しております。


豪栄道 ●●○○○●○●●●4勝6敗

秀平氏が初日の豪栄道age転じてdisりまくりな姿勢にあきれ果ててましたが、まー、秀平氏の気持ちも分からんでもない1勝4敗の中盤戦でありました。横綱陣の充実ぶりを考えると角番必至。

勝った相撲はとても良いのです。黒星先行の大関にはとても思えないほどに。
しかし、負けるときの脆さはケガを疑いたくなるほどで、劣勢を少しも盛り返せずにあっけなく負けてしまう。ちょいと説明が付きません。

大関として、下位には完勝せねばと力んでいるのかもしれませんね。もしそうだとすれば、その力みの取れる横綱大関戦は意地を見せてくれるかと。やはり挑んでる姿が豪栄道らしいと思うのですよ。期待してます。

関脇以下は注目力士をピックアップ。


高安 ○○☆●●☆●◎●○6勝4敗

2横綱1大関を倒した以上、絶対に勝ち越して頂きたい。
白鵬に勝った相撲がよほど自信になったのか、いつもに増してのドヤ顔がらしさ爆発でとてもよろしい。

どうやら今場所は突き押しの立合に徹するみたいですね。兄弟子大関のように日によって立合が変わるより良いことです。

上位戦も終わったことですし、ケガすることなく勝ち越してほしい。帰り三役が最上のご褒美ですけど、こればかりは番付運もありますのでね。


宝富士 ◎●◎●●○●○●○5勝5敗

横綱大関陣と当たり終えての5勝5敗は立派。
愚直なまでの左四つの相撲という外形は変わらないのですけど、やはり地力を着けてきたということの証左でしょう。

残す役力士は碧山と勢。どちらかを食って勝ち越したい。


旭天鵬 ○○○○●○○○○●8勝2敗

序盤の好調ぶりに勝ち越しは疑っておりませんでしたが、まさか中盤で早くも勝ち越してしまうとは思いませんでした。拍手喝采を送るほかありません。

これで幕内勝ち越しの最年長記録更新という40歳。
審判部もまさか優勝戦線に食い込むとは思っていないでしょうに、旭天鵬がこれ以上に星を伸ばしたら、上位が競り合っている中でどのように割を崩すのでしょうね?

そんな周囲の喧騒とは関係なく、懐の深さを活かした大きな相撲で館内を沸かせ続けるレジェンド。二桁勝ちしての敢闘賞確定といきたい終盤戦です。


蒼国来 ○○○●○○○●○●7勝3敗

序盤の振り返りにも書きましたが、その旭天鵬に土を付けているのが蒼国来なのですよ。マワシを浅く引いてアタマを付けて旭天鵬の懐の深さを封印しての寄り切り完勝。

私は朝に録画深夜場所を観た後、時間の余裕があれば、取組の書き起こしをTwitterに投じているのですが、今場所の蒼国来の相撲は書き起こしていて楽しいくらいに理に適った先手先手の相撲の連続で、ホント素晴らしいのです。

これは二桁勝ちして技能賞確実だろー…と思ったりしましたが、先場所も先々場所も今場所のような相撲の兆しを感じさせながら、終盤戦でよもやの連敗を喫しての8-7に7-8でしたからね。うーん。

や、中盤までの相撲っぷりを振り返れば、終盤5日間を3勝2敗として10勝を挙げる可能性は極めて高いのですよ。でもねー、うーん、先場所も先々場所も(ry

えーい、祈りましょう!
廃業の危機から復活しての三賞受賞を祈りましょう!


栃ノ心 ○○○●○○○●○○8勝2敗

蒼国来とは別の意味で地獄から這い上がってきた栃ノ心が十日目の勝ち越し。心より祝福したい。おめでとう。

ケガする前よりも組手にこだわりますし、右四つ左上手を得たときの無双感が凄いですね。強くなって帰ってきました。これは嬉しい。

それにしても、今年の春場所以降4場所の幕下力士と十両力士に同情してしまいます。取的がこんなのに勝てるわけないじゃないですか。A^^;


松鳳山 ○●●●●●○○○●4勝6敗

序盤は心配しましたが、中盤に入って怖い松鳳山が戻ってきました。

そうです。松鳳山はアタマで当たらんといかんのです。立合、怖い顔のままガツンと強烈に当たってからの突き起こし、これです。差し身の上手さも諸手突きの威力もこれがなければ半減しまうからね。ご当地力士、勝ち越してほしい。


逸ノ城 ●○○●○●○●●○5勝5敗

や、序盤の振り返りの際の評価となんら変わりありません。ただ、周囲のガッカリ感に物申したいのです。

幕内2場所目の関脇が五分の成績ってのは凄いことなのですよ。場所前の優勝候補に挙げられるような評は過剰評価でしょうけれども、「大したことないなー」というのは過小評価に過ぎますよ。

遠藤に懸かり続ける懸賞にも同じことが言えますが、最近のマスコミ評は過大評価にも過小評価にもブレ過ぎで害悪です。それを後押しする一部解説と実況も含め、猛省して頂きたい。


とまぁ好き勝手書いて、贔屓の稀勢が負けたことによる苛立ちがガス抜きされたので筆を置きます。

なんだかんだ言いながらも今場所は久々に楽しめてます。
千秋楽まで盛り上がって参りましょう。


Comments (2)

  1. 相撲評論家

    「篭れ!」にコメントしようと思っていたら場所が始まってしまいまして…
    10日目まではそれなりの評価ができる場所でしたね。
    ただ11日目を見た感じですと、やっぱり終盤までは持たないのかな、という印象を特に後半戦から受けます。
    12日目以降は来週見るので気が早いんですが、楽日を終えたあとのことを考えますと、横綱大関のうち書きたいと思う者が2人、書いてもいいかと思う者が1人、他3人は省略可という感じです。
    逸ノ城は実力通りでしょう。変わって負けた分も含めて。
    前場所より少しですが強くなってますよ。
    立ち合いが下手くそなので損をしてますが。

    松鳳山は今も心配ですよ。
    動きが遅いです。どうしちゃったんでしょう。

    三賞選考が見ものです。
    蒼国来と荒鷲がこれまでの内容を維持した上で似たような星に終わり、技能賞候補として名が出た場合に、(両者受賞はあってもよいですが)荒鷲だけ受賞で蒼国来が落ちるようなら、選考委員の底が知れますから。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      コメントありがとうございます。
      競った星勘定であるわりに、始まった横綱大関戦の内容が薄いのが気になります。千秋楽まで楽しみますけど。うーん。

      蒼国来が勝ち越しまして、たしかに三賞選考が見ものです。(^^)

      Reply

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