団体戦勝敗確率
ふと、剣道団体戦のオーダーおよび戦術について論理的に考えてみたいと思いまして、こんなのを作ってみました。
団体戦勝敗確率.xlsx (MS-Excelファイル:3.01MB)
使い方は簡単。
MS-Excelで上記ファイルを開いて頂きまして、↓このシート↓の…
白地セルに数値を設定することで、先鋒~大将まで5人の選手の実力差と、各試合が0本-0本の引き分けとなる予想確率を与えると、
↑こんな感じ↑に各選手と団体戦の勝敗確率が算出されるというものです。
上で示したデフォルト値では全選手の実力差が5:5のイーブンであるため、結果があまり面白くないですから、先鋒と大将が強くて次鋒が大弱点という例を示しますと↓こんな設定↓になりまして…
どーです?
なんとなくそれっぽいでしょ? A^^;
さて、勝敗確率の算出方法について説明してみますので、えー、それはおかしいんじゃない?という所がありましたら、ご指摘を頂きたいと思います。
と、言いますのは、果たしてこの方法で有意な確率が算出されるのか、自分でもいささか自信が無いのですよ。説明後にあらためてボヤキを入れますが、剣道はデータ化が難しいのです。 A^^;
ここで想定しているのは5人制団体戦。3本勝負。試合時間内に勝負が決しない場合は引き分け。勝者数が多い方を勝ちとし、勝者同数の場合は取得本数の合計が多い方を勝ちとする。勝者数、取得本数も同数の場合は代表戦とする。ま、ごくノーマルな剣道団体戦です。
まず、先鋒から大将までの各試合の結果確率を算出。
出現する試合結果は以下の5つ。
二本差勝ち
一本差勝ち
引き分け
一本差負け
二本差負け
これら試合結果の出現確率を算出することになります。
1本目から順に考えましょう。出現する結果は、1本を取る(○)、1本を取られる(×)、双方とも1本を取れずに試合時間が終わる(□)、以上の3つになります。以降、○、×、□と略します。
まず、双方とも1本を取れずに試合時間が終わる(□)ということは、0-0で引き分けるということです。その確率は、実力差よりも試合運びや相手との相性によって左右されるものですので、「0-0引き分け出現確率」として固有値を与えることにしました。
その初期値を20%としているのは、私が守備範囲としている小中学生の団体戦を観てきた感覚として「団体戦の5試合の中で1回くらいの頻度で出現してるかな?」と適当に定めたものです。より攻撃的な姿勢で試合に臨む場合はこの数値を下げ、逆に守備的な姿勢で試合に臨む場合はこの数値を上げることにより、算出結果の現実性が増すと思います。
□を20%としますと、残りは80%。これを実力差に応じて○と×の出現確率として分配します。
初期値での実力差は5:5のイーブンですから、○=40%、×=40%となります。
続いて2本目を考えます。やはり2本目でも○×□が出現します。
まず、2本目で□ということは、一本勝ち(○□)または一本負け(×□)ということです。その出現確率は、1本目の○or×の出現確率に「0-0引き分け出現確率」を掛けたものとしました。
試合および審判経験上、1本が決まることにより試合が動き、2本目が決まりやすくなる傾向にあることは存じておりますが、残りの試合時間が限られていることで相殺されますので、おそらくはそれが適当ではないかと思うのです。
よって初期値の場合の○□出現確率は、○出現確率40%の20%となり、8%と算出されます。
そして、○出現確率40%から○□(8%)を除いた32%を実力差で分配。○○は32%×0.5で16%、○×も16%となります。
ここまでにより以下の出現確率を得ております。
□……20.0%
○□… 8.0%
○○…16.0%
○×…16.0%
×□… 8.0%
×○…16.0%
××…16.0%
以上のうち、○×および×○の場合は3本目の「勝負」が始まりますから、2本目と同様に出現確率を更に分配します。
○×□は○×=16.0%に□=20.0%を掛けて3.2%。残りの12.8%を○×○と○××で分けて6.4%となります。
これで全ての試合結果の出現確率が得られました。以下のようになります。
□………20.0%
○□…… 8.0%
○○……16.0%
○×□… 3.2%
○×○… 6.4%
○××… 6.4%
×□…… 8.0%
×○□… 3.2%
×○○… 6.4%
×○×… 6.4%
××……16.0%
これを、二本差勝ち、一本差勝ち、引き分け、一本差負け、二本差負け、以上5つの結果にまとめ直しますと、以下のようになります。
二本差勝ち(16.0%)
○○……16.0%一本差勝ち(20.8%)
○□…… 8.0%
○×○… 6.4%
×○○… 6.4%引き分け(26.4%)
□………20.0%
○×□… 3.2%
×○□… 3.2%一本差負け(20.8%)
○××… 6.4%
×□…… 8.0%
×○×… 6.4%二本差負け(16.0%)
××……16.0%
以上で先鋒から大将までの各試合の結果確率が算出されました。
やっと本題、団体戦の勝敗確率を算出します。
二本勝ち=◎、一本差勝ち=○、引き分け=□、一本差負け=△、二本差負け=▲、としたとき、5人全員が二本差勝ちの◎◎◎◎◎という最良の結果から、5人全員が二本差負けの▲▲▲▲▲という最悪の結果まで、何通りの試合結果があるかといいますと、5×5×5×5×5、つまりは5の5乗で、3,125通りになります。
そこで、まずは3,125通りの試合結果の出現確率を全て算出します。
例えば、初期値での◎の確率は5人全員が16.0%ですから、0.16×0.16×0.16×0.16×0.16で約0.01%となります。この要領で3,125通りの試合結果の出現確率を全て算出するのです。
そして、例えば「勝つ確率」を求めたい場合、勝ちとなる試合結果、すなわち勝者数で1勝差以上で勝つ試合結果と、勝者数が同数で本数差で勝つ試合結果を集め、それらの出現確率の合計により「勝つ確率」が求められます。
この要領により、「勝つ確率」「負ける確率」「代表戦となる確率」などなど、様々な確率が得られることになります。
さて、以上の説明が皆様に伝わったとする自信など全く無いのですが、一応は勝敗確率算出方法を確立するに至るまでに感じたことをボヤキまくってみましょう。
データといえば、野球のデータ化が秀でておりますけれども、あれはイニング(3アウトで1回)という、ベースとなる基数があるからこそ、打率や防御率といったデータが有意なものになるのですよ。
サッカーも最近はボール支配率等のデータが一般化しつつありますが、あれも1試合90分というベースがあるからこそのもの。
ところが剣道の場合、試合時間の経過により勝負が終わる場合と、先に2本取る(取られる)ことで勝敗が決する場合の2つのケースが存在し、どちらをベースにしても有意なデータにならないのですよ。
さらには団体戦となりますと、3本目が行われた試合と、2本連取で終わった試合とが混在するのに、勝者数で同数となったときに取得本数の合計で勝敗を決するというのも、データ的には困るのです。
どのへんが困るのかは説明が難しいのですけれども、「○××」や「×○×」の○=1本が認められて、「××○」は存在すら認められないというあたりが、確率論を構築する際にとても困るのです。
ここまで書き、Excelシートまで作っておきながら言うのもどうかと思うのですが、剣道のデータ化は無理がありますよ、はい。 A^^;
でも、これを起点にして、より論理的に戦術を考えてみたいとは思ってます。