夏場所総括

先の日曜日に千秋楽を迎えました大相撲夏場所。
旧ブログからの恒例ではございますが、総括と題して好き勝手に述べてみます。

大いに盛り上がった場所でした。
平日に満員御礼の垂れ幕が下がるほど、国技館は活気に満ち溢れておりました。

が、しかし、私は十二日目に浴びせられた冷や水で奪われた相撲熱が、とうとう千秋楽まで戻ることはありませんでした。

日曜日に重要な剣道錬成会と重なったことも理由ではありますが、LIVE放映が見られなくとも深夜場所(ダイジェスト)を追っかけていた私が、録画済みの千秋楽を義務的に観たのが翌日月曜の夜というあたりに、私の冷めっぷりが露呈しております。


十二日目の冷や水につきましては先週の記事で既に述べてますので、ここであらためて述べることはありません。

それよりも、十三日目から始まる横綱総当たり戦と、それに付随する横綱大関戦に寄せていた期待が裏切られたことが、やるせないとでも申しましょうか、落胆の極みへと誘われまして、こうして総括記事を書くことさえも、実はツライのであります。

報道では白鵬が他の2横綱に力の差を見せつけたと書きたてておりますが、横綱が横綱に立合で張るというところに私は白鵬の驕りを感じました。

もちろん張り差しは反則でもなんでもありませんが、瞬間動作の立合にその余計な一手が入るというのは立合を合わせていないことの証左でありますし、相手に見透かされたら一気に勝負を持っていかれるリスキーな立合でもあります。

立合で横綱や大関に張ってはいけないとする暗黙の了解は、横綱あるいは大関という特別な存在に対するリスペクトの証であると同時に、横綱や大関による銭の取れる武芸を興業として観客に高確率で披露するための仕組みでもあるわけでして、これを自らが蔑ろにする横綱をメディアのように褒め称えることなど私にはできません。

はいはい、優勝優勝、わろすわろす(AA略)てなもんです。

ここまで書いてから思ったのですが、旧ブログにて何年も本場所総括を書き続けてきましたけれども、天皇賜杯を抱いた力士に対して祝福の言葉も一切述べず、ここまで批判したのは初めてのことです。

そんな自分自身に驚いてしまいますが、本心なので仕方ないです。
思ってもない祝福の言葉を述べましても虚しいだけですからね。


幕内下位や十両の取組でもなかなかお見受けできない髷つかみによる反則負けが、横綱戦で2回も出現してしまったのは前代未聞の珍事であり、これも十二日目の冷や水に追い討ちをかけるように私から相撲熱を奪いました。

まず、十二日目の鶴竜-豪栄道ですが、このような偶発的アクシデントを呼んだ遠因として、割りを崩しての取組であったことも無視できないように思えます。

本来であれば十二日目は鶴竜-稀勢の里、白鵬-豪栄道のはずなのに、何の意図があったのか割を崩してまで白鵬-稀勢の里を十二日目に組み、その煽りで鶴竜-豪栄道が組まれることになったのでした。

興行的に集客の見込める金曜日ではなく、あえて木曜日に白鵬-稀勢の里という黄金カードと、遠藤-大砂嵐という話題を呼ぶこと間違いなしの取組を用意することにより、まんまと木曜日の満員御礼をせしめた日本相撲協会でしたけれども、その結果が大砂嵐の右かち上げ1発で遠藤KO、横綱大関の立合合戦、そして結びの横綱戦で髷つかみ反則なのですから、期待が大きかった分だけ観客のガッカリ感はorzなんてもんじゃなく大きなものがありました。

本場所興行における割というシステムはとてもよく出来ているのですから、これをいたずらに弄るのはおやめになった方がよろしいかと。
この点、日本相撲協会、とくに取組編成を担当する審判部には猛反省してほしい。

で、豪栄道の髷つかみ反則は、相撲の流れからして勝負に影響の薄かった故意ではないアクシデントとして処理してもよかったと思うのですが、十四日目の日馬富士の髷つかみ反則は勝敗への影響大でしたので、裁定そのものに対しての疑義はありません。

それよりも、日馬を含む3横綱とも、叩きを多用することが問題だと思います。
もちろん叩きも相撲の技ではありますが、興行的には勝負の行方をプツンと瞬断してしまう技ですし、鶴竜-千代鳳のように相手が落ちなければ小結相手でも墓穴を掘る結果となるわけでして、大いに白けるのですよ。

横綱は引くな叩くな、とは言いませんけれども、それを多用している現状が、日馬富士の髷つかみ反則が起きたそもそもの要因だと思います。


さて、力士評に移ります。
白鵬についてはすでに述べましたので割愛し、準優勝の稀勢の里から。

右足親指の故障に泣かされた先の2場所を経て、大きく成長しました。

成長の証の第一は、何といっても立合の低さと安定感。
十二日目の白鵬戦の件で批判を浴びている稀勢の立合ですが、あの1番以外は全て1回で立てているという事実が稀勢の成長を雄弁に物語ってます。

無論、4日目の碧山戦を筆頭に反応の悪いところもありますから、修正点もあろうかと思いますけれども、この夏場所の立合をベースの形にして整えていけば、今後も安心できるかなぁと思ってます。

そして、脇の甘さが1回も露呈することなく15日間を終えました。
とくに左の固さといったら鉄壁のレベルで、これが下位相手の取りこぼしを碧山の1回に留めた要因の1つと言えます。

また、心技体の心の部分が問われることの多かった稀勢ですが、土俵上で赤鬼化することはなくなり(これはこれで寂しい A^^;)、碧山戦と白鵬戦で不本意な負け方をしても翌日に引きずることはありませんでした。とても良い傾向です。

千秋楽まで白星の数を競っての準優勝ということで、またぞろ「名古屋場所で優勝したら・・・」などという声が上るかもしれませんが、それは余計なお世話であり、まずは初優勝。綱の話はそれからです。


新横綱の鶴竜評に移ります。

9勝6敗という横綱として不本意な成績に終わったわけですが、鶴竜がどこか故障を抱えているとか、調子が悪いとかそういうことではなく、鶴竜は場所中に迷いを生じると相撲がガタガタになる不安定性を常に抱えておりますこと、今に始まったわけではないのですから、観る側もそれを織り込んでおかないと失望感が増すばかりになります。が、それは観る側も鶴竜自身も不幸なことです。

夏場所は、千代鳳に引いて墓穴を掘った相撲と、宝富士に変化で勝った相撲、この2番が鶴竜の相撲を大きく迷わせることになった要因でありましょう。

逆に言うと、この2番の迷いさえ生じなければ、もう少し安定した成績となったことでしょう。鶴竜、繊細に過ぎるのです。それが彼の弱点であると同時に武器でもあるわけですから、来場所もとくに対策すべき所は無く、1番1番を彼らしく真面目に理詰めで相撲を取るしかありません。

こちらも悲観も楽観もせずに、鶴竜に横綱らしさが宿る日を待ちます。

それと土俵入りですが、こちらはまだまだ貴乃花からの借り物ですね。
初日に比べますとかなり良くなってきましたが、視線やタメに課題が残るかと。
これについては成長を楽しみにしたいと思ってます。


続いて日馬富士評。

悪いなりに頑張ったというところかと。
序盤のバタつきにはどうなることかと思いましたが、なんとか相撲をまとめ、十四日目で稀勢に反則負けするまで優勝戦線に残ったのは大したものです。

あの足首、なんとか完治できないものでしょうか?
幸いにして3横綱時代ですので、1場所くらい休場してでも治さないことには、あの軽量で綱を維持することは相当に難しいと懸念しております。

私は3横綱の中で日馬富士の土俵入りを高く評価しておりまして、1場所でも長く横綱であってほしいのですよ。祈る思いでおります。


殊勲賞の豪栄道評。

2場所連続4度目の殊勲賞でしたが、こんなに嬉しさの伴わない殊勲賞は初めてでしょうね。
優勝した白鵬に唯一土を付けたのに、千秋楽勝ち越しの8勝7敗。当然にして不本意な成績であり、大関昇進への挑戦も白紙に戻りました。

現大関2人がかつて関脇で燻っていたときと全く同じ状況ですね。
良い場所と悪しき場所が交互に現われ、悪しき場所では強い日と弱い日が交互に現れるというあの現象。私ら稀勢ファンが歩んだ道を、豪栄道ファンが歩んでます(遠い目)。
中には稀勢ファンにして豪栄道ファンという方もおられますが、はたして胃が持つのだろうか?と余計な心配をしてしまいます。

冗談はさておき、夏場所の豪栄道は脇の甘さが目立ちました。
かつての稀勢みたいに立合でスパッと差されるのではなく、相撲の流れの中で差されて横に付かれるケースが多く、その対策は難しいものがあります。更には首投げも警戒されて不発ときては7敗も仕方ないかと。

同部屋の妙義龍ともども、どのような修正を施して来場所を迎えるのか、注目したいと思います。


続いて敢闘賞の勢評。

11勝という好成績を挙げた勢ですが、私はあまり評価してません。
白星の数ほどには前に出ている印象が乏しく、引く叩くが目立ち過ぎるのです。

家賃高となる来場所、あれで大丈夫なのか?と心配しておりますが、良い意味で予想を裏切ってくれることを期待してやみません。


敢闘賞の佐田の海評。

技能賞がもめた揚句に受賞者なしとなったらしいのですが、私は佐田の海の外掛けに技能賞を与えてほしかったなぁと残念に思ってます。

あの相撲の流れの中での攻めの外掛けは実に鮮やかで、特筆すべきものでした。
その希少価値と新入幕10勝を比較するなら、私は希少価値に軍配を上げます。

三場所連続の技能賞該当者なしというのは、技能賞の選考方法に問題があるか、幕内力士に特段の技能巧者がいないかのどちらかであろうけれども、もし後者だというのであれば、それは由々しき問題であります。


他の力士について思いつくままに。


負け越して来場所カド番を迎える琴奨菊評。

上半身がサポーターをせずとも済む程度に癒された結果、上半身と下半身のバランスが崩れてしまったように思えます。
下半身がガタガタな分、元気になった上半身に頑張ってもらおうとして腰が伸び、そこを崩され、簡単に落ちる、転がるを続けた夏場所でした。

あのヒザが少しでも良くならない限り、大関の力は発揮できないと思います。
大関昇進以来、休場しての負け越しは初めてのことだそうで、心の折れ具合も心配しております。

あとは本人が納得いくまで相撲を取り続けるのみですが、今日明日にでも引退発表があっても驚きません。
よく頑張っているとは思いますけれども、限界間近でしょう。


高安評。

今場所は負け越してしまいましたが、とうとう最後まで相撲の取口を変えませんでした。

鶴竜のように、突いて押して距離を取る中で相撲の流れを作っての四つという形に自分の相撲を整えようとしているのではないでしょうか。

星の並びは同じでも、いつもの連敗癖とは違う感じを受けました。
夏場所を糧にしての来場所以降の成長を楽しみに待ちます。


大砂嵐評。

右カカトを痛めたとかで編み出した、右足を1足分引いて構えた姿勢から勢いをつけての右かち上げ。これを十二日目の遠藤戦から使ったわけですけれども、これを見て私の大砂嵐評が固まりました。大っ嫌い。(あ、評じゃないw)

来ると分ってるかち上げなんか、怖くはないのですよ。それが証拠に、間合いを読み誤った遠藤以外の力士は対応できてます。ただ、ケガするのが怖いので、大砂嵐の殴打相撲に付き合わないだけですよ。

理の無い相撲で自分がケガするのは勝手ですけど、それに他の力士を巻き込みかねない敵対的すぎる相撲です。
なんとかならないものでしょうか?


安美錦評。

立合の魔術師(皮肉込み)、土俵際の魔術師(これは褒め言葉)といった「らしさ」発揮で10勝。役力士は対戦するのイヤだろうなぁと思っていたら、白鵬・鶴竜・稀勢の里には黒星も、琴奨菊と両関脇・両小結には魔術発動。大関の地位への入口の門番と化してました。とりあえず安美錦に勝てるようにならないと三役定着は難しそう。


蒼国来評。

詳細は先週の記事をご参照ください。
十一日目で勝ち越したときには二桁は確実にいくと思っていたけれども、やはりまだ体の大きさを持てあましているのかな?
来場所、真価を問われるかと。


豊響評。

先場所よりも調子は良かったように思えましたし、重戦車ぶりも発揮できていましたので、8勝7敗という成績は意外な感じもします。とりあえず11枚目で勝ち越せて良かった。


照ノ富士評。

千秋楽の松鳳山戦が代表例ですけど、相手得意の差し手を許しても上手マワシ取っちゃえば剛力でなんとかしちゃうのですね。松鳳山に両差しを許しながら両上手ガッチリ取って高々と吊り上げたのには驚きました。あれで初日当日まで蜂窩織炎で入院してたというのだから、潜在能力が計り知れません。来場所、万全な状態での出場で真価を問いたい。


あと、相撲は観られなかったのですが、隆の山が西十両14枚目で4勝11敗に終わり、幕下に深く沈むことになりました。残念。また十両に復帰できる日を信じて待ちます。

隆の山と入れ替わるような形で、2場所連続で幕下優勝を果たした栃ノ心が十両に戻ってきます。これは楽しみ。


毎度のことながら、まとまりを欠きましてお恥ずかしい限りですが、以上を夏場所総括とします。7月の名古屋場所を楽しみに待つことにしましょう。


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