出場停止=全休という不可解

先週でしたか、日本相撲協会が暴力行為に対する処分基準を示したわけですが、処分の軽重もさることながら、出場停止処分とケガ等による全休が同じということに、モヤモヤするものが残るのです。

例えば、貴ノ岩のケースは今回の処分基準によると1場所出場停止処分相当になりますが、大きなケガをして全休せざる得ない力士と、暴行事件を起こして出場停止処分を受けた力士は、番付15枚落ちという点では同じ扱いになります。

片や、暴行によって弟弟子の心身に危害を与え、大相撲の信用を棄損せしめ、角界内外から白眼視されている力士。
此方、命懸けの土俵上のアクシデントにより大ケガを負い、その復活を信じるファンから熱い声援を送られている力士。
この両者が同じ扱いというはおかしいと思うのです。

では、出場停止を2場所に延ばせば良いのかというと、貴ノ岩が陥落先の十両で優勝したように、30枚も落ちると落ちた先の番付周辺の力士が割を食うのですよ。
とくに幕下以下になりますと、本場所での取組が7番しか無いのに、うち1番が実力的に幕内の力士と対戦することになり、勘弁してくれよと言いたくなるでしょう。

その意味では休場力士も同じで、例えば栃ノ心は幕下×2と十両×2で4場所連続優勝を果たして幕内に復帰しましたが、これってランキングという意味での番付としてどうなのかなぁと思うわけです。

なので、番付降格という処分は、例えば幕内上位ならば前頭最下位格付出し、幕内下位ならば十両最下位格付出し、十両ならば幕下15枚目格付出しに留め、それとは別に出場停止期間(給与支給も停止)を設けるべきではないかと考えます。
例)3場所出場停止で再出場は十両最下位格付出しから

当然、ケガによる休場についても番付降格は、休場期間に関わらず、同じ扱いで宜しいのではないかと考えます。
例えば元大関の照ノ富士は、十両での土俵を最後に3場所の休場を経て三段目まで降格してますが、上記提案では幕下15枚目格付出しからの復帰となりますし、幕尻から再帰できるのであれば早々に休場して治療に努める選択肢も有った筈で、故障個所の重症化も避けられたと思うのです。

宇良の件も含め、公傷制度の復活を求める声も小さくありませんでしたので、出場停止=全休という疑問点を得たことは公傷制度を再考するのに良い機会なのかもしれません。


また、処分を受けた力士の出場停止期間中の過ごし方についてですが、相撲教習所預かりとするのは如何なものだろうかと考えます。

旧・貴乃花部屋で暴行事件が続発したことからも、不祥事は部屋の問題でもあると考えるのが当然だと思うのです。にも関わらず部屋で謹慎をさせたところで反省を促す効果は薄いでしょう。

相撲教習所預かりとすれば部屋とは一旦切り離されての自省が促されますし、部屋での関取としての厚遇も取り上げられ、教習所では新人の範となることを求められますし、なにより反省の度合を第三者視点で確認できるようになります。

せっかく相撲教習所があり、理事が所長に就いているのですから、不祥事を起こした力士の再教育にこれを利用しない手はないと思うのです。


まとめますと、
○番付降格には制限をかけ、それとは別に出場停止期間を設けるべき
○ケガによる休場による番付降格にも制限をかける公傷制度があるべき
○不祥事を起こした力士は相撲教習所預かりとすべき

いかがなものでしょうか?




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Comments (4)

  1. 暴論ですが

    不祥事はすべて一律懲戒解雇にすればよいと思います。
    そうでもしないとなくなりませんよ。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      コメントありがとうございます。
       
      >不祥事はすべて一律懲戒解雇にすればよいと思います。
      >そうでもしないとなくなりませんよ。
       
      暴論ですね。
      しかしながら、そこまで厳罰化したとしても、不祥事がなくなる=ゼロにはならないでしょう。
       
      それよりは、当人の反省を促し、組織内の規律を正し、再犯を防止する仕組みを導入した上で、過ちを犯した力士が復帰できる可能性が極力残される角界であることを、私は望みます。
      結果的に、それが不祥事を減らすための確実な方法だと考えます。
       
      他のスポーツ競技にも同じ事が言えますが、潔癖も過ぎると害悪でしょう。
      水清くして魚住まず では困るのです。

      Reply
  2. shin2

    診断書は相撲協会に提出されるはずだから、労災認定のように「公傷(病)認定員」として、医学と相撲に精通した人物を指名すべきだろう。
    ただ、力士の場合、肝炎や糖尿は「公」の中に入るのか、難しいところだ。入院が必要な重篤なものは、公傷に準じてもいいのではないか、と考える。

    不祥事による出場停止に関しては、判断が難しい。最近10年で起こった野球賭博・八百長メール・運転事故・暴力行為での処分に統一性がない。
    相撲協会が処分基準を示したばかりだ。変な話だが、まず処分対象者が出てから考えたほうがいいような気がする。情状酌量するべきケースもあるだろう。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      shin2さん、コメントありがとうございます。
       
      私も「公傷(病)認定員」の指定は必要だと思います。
      日馬富士による貴ノ岩暴行事件の際の、複数の診断書により貴ノ岩のケガに対する評価が分かれた件などはその典型でしょうが、医師の違いや力士側の要望(?)によってブレるような診断書では公傷制度は成立しませんからね。また、外傷よりも病症の判断が難しいですね。
       
      不祥事に関する過去の処分にブレがあることについては同感で、今回示された処分基準がそれを是正してくれることを願ってます。

      Reply

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