横綱の理と稀勢の里への情

大相撲九州場所も中盤に突入しました。
ここで序盤の振り返りをするのが恒例なのでありますが、今回は稀勢の里について語ることで代替とさせて頂きます。
気持ちに整理を付けませんとね、相撲を楽しめないのですよ。
皆様ご存知のとおり、稀勢の里は1つも勝てないまま五日目より休場となりました。
休場の理由は初日の貴景勝戦で痛めた右ヒザのケガで、全治1ヶ月とのこと。
あらためて確認しましたが、なるほど、たしかに貴景勝の強烈な左突き落としに右ヒザから落ちており、このときに痛めたのでありましょう。
しかし、そうであるならば翌日から休場するべきでした。
百歩譲って、1人横綱の責任感から横綱として闘える可能性を探ってのことであったにしても、二日目の妙義龍戦における相撲内容の乏しさを考えれば、三日目からの休場を判断できたはずです。
そこを押して強行出場した以上、自分の相撲を取り戻せずに負けが込んだならば引退する覚悟をもって、土俵に臨まなければなりません。
そうでなければ、神の依り代として紙垂を垂らした綱を装着して毎日披露する土俵入りが嘘になります。
横綱としてあるべき姿とその理(ことわり)からすれば、引退を懸ける覚悟も無いままに強行出場し、結局は途中休場してしまったという稀勢の里の失態は、厳しく批判されて然るべきだと思います。
しかし、上で述べたような横綱の理と、郷土力士として十両の頃からずーっと応援し続けてきた稀勢の里への情は、まったくの別物。
稀勢の里の白星1つ黒星1つに一喜一憂してきました。
なかなか大関に上がれないまま師匠を亡くしたときには共に涙しましたし、大関昇進、初優勝、横綱昇進、ケガを押しての奇跡的な連覇には狂喜乱舞させてもらったのです。
横綱である前に、一個の力士、稀勢の里寛。
その稀勢の里が再起を期すと言っている以上、応援するしかないです。私はね。
再起の道がとんでもなく険しいことも、道は違えども同じ武道家として充分過ぎるほど理解してますけどね。
しかし、批判には弁明しません。昨年夏場所以降の稀勢の里は、たしかに横綱として駄目でした。
その批判は稀勢の里とともに真正面から受け止めます。それでも応援するに値する力士ですから。
願わくば、横綱の理と稀勢の里への情が、相反することなく並立する日が再来しますようにと祈りつつ、弟弟子である高安の相撲を軸に今後の九州場所を観たいと思います。
甚之助さん、再び暫くで御座います。
以前からネットで「最弱横綱」と揶揄され続ける稀勢の里に、
今も大変心配している、大相撲FANのt-mです。
前の2018年秋場所、年6場所制以降単独ワーストの8場所
連続もの長期休場明けで、辛うじて10勝5敗と二桁勝利を
挙げたキセに対し、日本相撲協会・八角理事長(元横綱・北勝海)は
「精神的に自信になった筈。ほっとしているんじゃないか」。
さらに横綱審議委員会・北村正任会長も、
「進退を掛ける場所で10勝はよくやった。次場所は期待出来る」
「現時点で稀勢の里に対し去就の話は殆ど出なかった」等と仰っていました。
恐らく八角理事長も北村横審委員長も甚之助さん達と同じく、
キセに対して相当に気遣っていると思いますが。
その九州場所、モンゴル出身の白鵬と鶴竜の二人が初日から全休。
事実上稀勢の里自身初めての「一人横綱」と成った時点で、
「返ってキセに大きな重圧が掛からなければいいが…」
と懸念していた事が、本当になってしまいましたね。
ネット等では「もし白鵬や鶴竜がキセ同様の成績不振が
延々続いたらば、もう既に引退勧告させられてる」
「何で相撲協会や横審委員会の連中達はキセばかり露骨な
依怙贔屓しまくるんだ!?」と疑問視・憤慨しまくってるようで…
キセ自身が引退したくないのか、ほか大相撲関係者達が
「唯一の和製横綱だから」まだ辞めさせたくないのか。
それは分かりませんが、私自身もあんな自信喪失した
表情のキセを見るのは余りに可哀想で仕方有りません。
素人目から見ても、腕・胸部の大怪我は完治してる様子。
然しながらそれに加え、下半身の相次ぐ故障や衰えで、
彼の悪癖である腰高の立会いが以前より酷くなってます。
キセが「このまま終わりたくない。もう一回チャンスが欲しい」
と言うのであれば、其れこそ新弟子に戻った気持ちで、
巡業でガムシャラに猛稽古しないと、復活は到底無理と思いますが…
以上、大相撲FANより横綱・稀勢の里に対する感想でした。
t-mさん、コメントありがとうございます。遅レスで申し訳ありません。
稀勢の里については、左四つの相撲を捨て、突き押しの相撲に回帰するくらいしか方法が無いのではないかなぁと思ってますが、結局の所は稀勢の里自身が決める道ですから、こちらとしてはそれを見つめ、応援するのみと腹を括ってます。