稀勢と高安、腰高に非ず

休場明けの稀勢の里、序盤を土付かずで通過ってのは出来過ぎですね。
では、これをもって復活と言えるのかと問われるなら、答は否であります。
三日目の豊山戦で露呈しましたが、左差しが効きません。
その豊山を土俵際で突き落とした左は強烈でしたが、左おっつけはまだ見ません。
さらには馬力不足で長い相撲を強いられてます。
にも関わらず、バタバタしながらも初日から5連勝。
どうもその原因は足と腰の構えにあるのではないか?と愚考しております。
と言いますのは、今場所の稀勢の里は腰高ではないのです。
私は「腰高」という批判を嫌ってまして、足が長ければ腰の位置が高いのは当たり前、それより腰の前傾角度の善し悪しを問題にすべきであり、稀勢は腰高でも立ち腰じゃなければそれでよい!という論陣を張っていたのですが、今場所の稀勢の里は腰の位置が明らかに低い。二日目の貴景勝戦では下からの突き上げを武器とする貴景勝より低く、これを腰高と言う人の気が知れません。
脚を外科手術で詰めたわけでもあるまいし、いったいどういうことなのだろう?
と思っていたら、腰高では兄弟子の稀勢と同様に定評のある高安も、今場所は腰の位置が低いのです。この田子ノ浦部屋の横綱と大関、なにか技術的な挑戦をしており、それが成功しつつあるのではないか?と思うのです。
この田子ノ浦部屋の横綱と大関の序盤戦全取組を見直してみたところ、まず、足の構えに特徴があるように思えます。
○つま先が上がらない摺り足
○カカトもあまり上がらない
○足が揃わない
○足裏の拇指球に頼らず、足裏全体で踏みしめることで土俵との接地面積を広くしている
○ヒザを絞る感じにして足のインサイドで踏ん張る
○自然体と半身の中間くらいの腰の角度を作り、相手圧力をまともに受け止めない
ともかく、稀勢の里と高安の足と腰の構えに創意工夫が感じられ、それが効を為しているように感じるのですね。
しかしながら、稀勢の里が復帰場所を優勝で飾るようなことは起きないと思っております。故障箇所の再発で場所前の稽古が不足していた高安についても以下同文。
それでも今場所を乗り切ることで自信と相撲勘を取り戻し、その次の場所で左と馬力が戻ってきたならば、復活どころか新しい強さを得た稀勢の里が観られることでしょう。
それを楽しみにしつつ、まずはこの秋場所を楽しみたいと思ってます。
稀勢の里ガンバレ!
高安ファイト!