社会人剣士の三段取得

昨日(6/11)は茨城県剣道連盟主催の剣道三段以下審査会@結城会場でした。
例年どおり私も係員として携わりましたので、それに関連するお話を。

剣道カテゴリーの拙ブログ過去記事を読み返しますと、三段以下審査の度に切り返しと日本剣道形のレベル低下を嘆いてばかり。この点は今回もあまり変わらない(底を打った?)ので、今回はちょいと別視点のお話を書いてみたいと思います。


剣道三段以下審査の受審者は、初二段は中学生、三段は高校生が9割以上を占めるのですが、社会人の受審者も数名おられます。

中には私よりも年配の方もおられ、緊張感を漂わせつつも真剣な姿勢で審査に臨まれる姿を拝見する度、うーん、えらいなー、立派だなー、と唸らずにはいられません。

前述しましたように、初二段は中学生、三段は高校生が受審する段位ですから、三段以下審査に臨まれる社会人は、社会人になってから剣道を始められた方か、中学・高校卒業以来十数年ぶりに剣道を再開した方かのどちらかです。
ちなみに、前者を遅剣さん、後者をリバ剣さんと呼んでます。

そして、剣道の段位で三段以下とは、剣道の基本の習熟度が問われる段位です。

どのスポーツ競技でも同様でしょうが、その競技の基本を習得するにはひたすら反復して身体と脳に覚え込ませることが一番の近道ですよね。

中高生にはそのための時間が潤沢にあり、年齢的にも身体や脳の順応性と吸収性が富んでます。

対して社会人は、仕事と家庭と地域社会での役割を全うするための時間が最優先であり、その余り時間をやりくりして定期的な稽古を維持せねばなりません。

それに加えて、遅剣さんやリバ剣さんの場合は、20代中盤より加齢と比例して徐々に衰えゆく身体と脳、これに剣道の基本を習得させるための反復を実施することになり、その努力は並大抵なものではないでしょう。

さらには、一級受審から初二段を経て三段に到達するまでには、段位間に義務付けられた修行年数の合計だけでも3年間、これに一級と初段取得までを1年間として加えれば、少なくとも4年間の剣道継続が必要です。

つまりは、前述した並大抵ではない努力を4年以上もの長期間継続された証。
それが社会人剣士の剣道三段取得が意味するところなのですから、審査会で合格された社会人剣士の皆様には心より祝福するとともに、尊敬の念さえも湧いてきます。その努力する姿勢、見習わねばなりません。


一方、中高生受審者と相対的に比較して、社会人受審者の剣技に見劣りする部分があるのも事実です。

身体能力の差、とくにスピードと柔軟性の差は埋めようもありませんので、ギクシャク感の残る動きや、打突機会を捉えきれない点も目立ちます。

この剣道に三段を与えてよいのか?という外野の声はいつも耳に届きますけれども、私は逆に考えてます。

ぎこちない動きであるからこそ、基本の習熟度がよく見えます。

社会人受審者は、スピードでの誤魔化しが利かず、身体の順応性も低いので、所属道場で指導されたまま実直に剣技を繰り出すほかありません。

審査員の先生方の目は、その錬度が見えないような節穴ではありませんから、例え一本になり得る打突が審査中に生じずとも、それを汲んで頂けます。

対して、中高生受審者における不合格者の傾向として、緊張して動けない、あるいは相手に圧倒されて合わせすぎる等により、学校剣道部や道場で指導された剣技を繰り出せないまま審査が終わるケースが多いように感じます。

一見すると、動きの良い中高生受審者に不合格者が出るのに対し、ぎこちない動きの社会人受審者のほとんどが合格する状況が不公正に映るかもしれませんが、三段以下という段位が何を審査されて合否判定されるものなのかを認識して頂ければ、けして不公正なものではないことがお分かりになるかと思います。


剣道三段に合格されました社会人剣士の皆様、あらためまして、おめでとうございます。そのご努力に敬意を表します。

私も皆様の稽古姿勢を見習って剣道六段取得を目指します。


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