すり上げ技は神技?

先の木曜日の定例稽古が終わった後、稽古の中で指導したメンすり上げメンについての質問を受けまして、それに答えつつふと思ったこと。
『あれ?「すり上げ」と「払い」ってどう違うのかな?』
これを起点に考察したら深入りしたので記事にしてみました。A^^;

※2017/06/04 7:21 誤記修正


木刀による剣道基本技稽古法の基本6はすり上げ技が指定されており、コテすり上げメン(元立ちのコテをすり上げてメン)を稽古します。

一方、同稽古法の基本3は払い技が指定されており、払いメン(元立ちが中段に構える刀を払ってメン)を稽古するわけです。

コテすり上げメンは裏から制して裏、払いメンは表から制して表から打つ技。いずれも制した側で打つ技ですよね。

では「すり上げ」と「払い」の違いがどこにあるかと言いますと、相手の刀に自分の刀を当てる際の角度だと思うのです。

◆が相手の刀の断面、◇が自分の刀の断面として見て頂きますと、

◆←◇
これが「払い」で


 ↑
 ◇
これが「すり上げ」

ここまでの認識は間違ってないと思うのです。

では、上で示した「払い」を入射角90度、同「すり上げ」を入射角0度としたとき、「払い」と「すり上げ」の境目は入射角何度あたりになると思いますか?

感覚的には、視認できる入射角が発生すると「払い」であり、限りなく0度に近いものを「すり上げ」としているような気がしますけれども、厳密に言えば入射角0度で相手の刀の鎬(しのぎ)に自分の刀の鎬を当てることによって、相手の刀の軌道を逸らす技のことを「すり上げ」と呼ぶのだと思います。


ところが、竹刀には鎬がありません。
4本の割竹を組み合わせて1本の棒にしてますから、その断面は■みたいな形になります。

■が相手の竹刀の断面、□が自分の竹刀の断面として見て頂きますと、


 ↑
 □
これが「すり上げ」という話になりますが、見てのとおりで、刀の鎬にあたる横の竹同士を入射角ゼロで当てても相手の竹刀の軌道が逸れるとは思えません。

こうなりますと、入射角のごく小さい「払い」のことを「すり上げ」と呼んでいることになってしまい、事実、私のレベルで遣うメンすり上げメンはそうなのですが……実際には頂いたことありますよね、竹刀稽古でのすり上げ技。


試合強者であるアスリーター型の剣士の試合ではあまり見ませんが、私の場合、何名かの範士や教士の先生から入射角0度の正真正銘のメンすり上げメンを頂戴してます。
茨剣連前会長先生や茨道連前会長先生には一刀流で言うところの「切り落とし」も頂戴しました。

どうすれば鎬の無い竹刀で鎬を利したような「すり上げ」や「切り落とし」が可能なのか、理論的にも実践的にもまったく分からないのですが、確かに存在するのですよ。

そう考えると(入射角0度の)すり上げ技は神技なのかもしれないなぁ……などと思った木曜日の稽古後でした。

とりあえず、私の(自称)すり上げ技の入射角を少しづつでも小さくしていこうかと。




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