パラリンピックに思ったこと

今年の出来事を振り返る時期ですね。
今年の漢字は「金」ということで、あらためて今年がオリンピックイヤーだったことを思い出させましたが、パラリンピックもまた印象に残っております。

なんとなくですけど、パラリンピックはスポーツという欧州発祥の文化の本質を表しているように思え、そこからスポーツと武道の違いについての理解へと繋がるような気がしまして、徒然なるままに書いてみようかと。

ボクシング・レスリング・柔道・ウェイトリフティングなどの体重別階級制はその顕著な例だと思いますが、スポーツはどこまでも公平公正を求めます。

なかでもウェイトリフティングは分かりやすい例となりますけれども、体重100kg超の大男と体重50kg台の女子では勝負が成立しませんよね。

あえて細かく言いますと、男女および体重によって搭載可能な筋肉量に明確な差があるため、男女別、そして体重別の競技にすることによって公平性を担保し、勝負が成立するようにしています。

このことは勝敗要因がフィジカル面に偏ることを防ぐことになり、それがテクニカル面の向上を促すことになって、競技としての魅力を高めてます。

パラリンピックの実施競技もその延長線上にあり、健常者と障害者では(障害の度合いにもよりますが)ほとんどのスポーツで勝負が成立しませんので、障害者を障害類型別にカテゴライズすることによって公平性を担保し、勝負が成立するようにしているだけのことです。

障害のある方でもこれだけのことが出来るんだ!凄い!という感動や、障害者に対する理解が広まることは(もちろんパラリンピックにはそういう狙いも含まれておりますけれども)あくまでも副産物であり、公平公正なルールの下で勝敗を競い合うことに応援者も含めて熱狂するという点において、パラリンピックはオリンピック競技と全く同じ姿勢で臨んでよいのです。や、臨むべきなのです。

これを一歩間違えますと、某○○時間テレビ同様の「感動ポルノ」になってしまうのですけれども、やはりパラリンピック開催期間には一歩も二歩も間違える報道が溢れました。受け手の私たちが留意するほかありませんね。

その意味では、パラリンピックはオリンピックと分け隔てることなく、オリンピック競技の中の障害者種目として共存する形の方が良いと思うのですが、いかがなものでしょうか?


さて、武道ですが、障害者枠はありませんし、作りません。

オリンピック競技の柔道さんはパラリンピックにも視覚障害者柔道が含まれておりますけれども、JOCによるパラリンピック競技種目紹介ページにも明記されてますように、段位については健常者と分けることはしません。

武道の主目的は人間形成にあり、勝敗を競う試合競技はそのためのツールに過ぎないからです。

もう少し砕きますと、健常者も障害者も同じ社会で生活しているのですから、武道が社会に有益となる人間の形成を主目的とする以上、健常者と障害者を分け隔てるわけにはいかないのですよ。

例えば、隻腕の剣道家が少数ながらおられますが、両手操作を前提とする竹刀で闘う剣道において、隻腕は大きなハンデとなります。

スポーツ的な観点で考えるなら、健常者と同じルールで試合することは公平性を著しく欠くことですので、そのハンデを補うルールを制定したり、パラリンピック同様に障害者枠として別種目化する等の方策が検討されることになります。

しかし、武道的な観点で考えますと、隻腕はハンデであると同時に強い個性であり、その個性をいかに活かして闘うべきか?という点を極めることになるのです。

その個性は、片手操作ゆえの変幻自在な竹刀の動き、独特な正中線の捉え方、半身の構え、竹刀を持つ手の位置を変えることによる間合の調整、といったものとして現れます。

そこから導き出されるのは、障害者が障害を個性として活かす方法や考え方、健常者側の障害者に対する理解、といったものになるでしょうか。
障害者ということでハナっから類型化して区分けすることなく、お互いを高め合う仲間として共存することが武道では求められるのです。

とはいえ、男女別、年齢別にカテゴライズされた中での試合競技が本分であるかのような昨今の剣道界ですので、私が述べたことも説得力に欠けるのが実情でありますけれども、柔道さんと同じく、女流段位や障害者段位が存在しないということが私の言ったことの証左になるかと思います。

以上、スポーツと武道の違いについて述べてみましたが、散文になり過ぎて言いたいことが伝わったかは自信ありませぬ。A^^;




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