優勝なしで年間最多勝?
豪栄道の全勝優勝で幕を閉じた秋場所ですが、実はあまり追えておりません。
なので、ちょっと違った視点から述べてみたいと思います。
秋場所の最中、どこかの記事で読んだような気がするのですが、白鵬が休場したことによって、年間最多勝レースの暫定トップは稀勢の里だと聞いたのですよ。
で、その稀勢の里が秋場所を10勝5敗と奮わずに終わった今でもそうなのか?と確認しましたところ、日馬富士とわずか1差ながら暫定トップのままなのですね。
稀勢の里=57勝(9-6/13-2/13-2/12-3/10-5)
日馬富士=56勝(12-3/9-6/10-5/*13-2/12-3)
※カッコ内は左から順に初場所/春場所/夏場所/名古屋場所/秋場所の成績。*は優勝した場所。
ちなみに他の役力士はと言いますと…
白鵬=51勝(12-3/*14-1/*15-0/10-5/全休)
豪栄道=47勝(4-11/12-3/9-6/7-8/*15-0)
高安=46勝(11-4/5-10/9-6/11-4/10-5)
鶴竜=43勝(10-5/10-5/11-4/2-2-11/10-5)
琴奨菊=42勝(*14-1/8-7/10-5/1-6-8/9-6)
魁聖=37勝(5-10/11-4/8-7/7-8/6-9)
宝富士=35勝(8-7/6-9/7-8/10-5/4-11)
栃煌山=34勝(7-8/4-11/8-7/8-7/7-8)
照ノ富士=25勝(3-3-9/8-7/2-13/8-7/4-11)
というわけで、例えば仮に白鵬が九州で全勝優勝したとしても、稀勢の里は9勝すれば最多勝タイなのです。
相撲内容的にガタガタだった秋場所でも10勝を挙げた稀勢の里ですから、2016年の年間最多勝は日馬富士とのマッチレースと言ってよいでしょう。
そこでifを重ねてしまいますが、九州場所の勝数が稀勢の里≧日馬富士で、稀勢の里と日馬富士以外の力士が優勝した場合、稀勢の里が”優勝なしで”年間最多勝となる可能性がかなり高くなります。
そこで 年間最多勝 – Wikipedia を見て頂きたいのですが、年間最多勝が表彰されるようになった1957年以降、2015年までの58年間の中で、優勝なしで年間最多勝を獲得した力士はいないのです。
つまり、まかり間違うと、稀勢の里が史上初の優勝なしでの年間最多勝力士となってしまうかもしれないのです。
これ、面白い現象と言うより、深刻な現象であるような気がします。
年間最多勝を獲得するということは、1年間6場所90日という長い期間で最も安定して結果を残している力士であることの証であるのに、その力士が優勝できないというのでは、大相撲興業というシステムそのものが疑問視されることになるからです。
ちなみに九州場所のみ優勝することによって年間最多勝を獲得したケースは4つ。
1960年の大鵬。1969年の北の富士。2001年の武蔵丸。2002年の朝青龍。
うち、1960年の大鵬は関脇、1969年の北の富士と2002年の朝青龍は大関で、後に横綱に昇進しているという稀勢の里贔屓には嬉しいデータが残っております。
つまるところ、九州場所で稀勢の里が優勝すれば万々歳なのでありますのから、贔屓としてはそれを願うしかありません。
拙ブログでは何度も言っていることですが、力がありながら、器がありながら、稀勢の里が優勝を逃す理由をメンタル面に求めるのことは安易に過ぎると思ってます。
事実、名古屋場所では実は右足の踵を痛めていたということを差し引いたにしても、超の付く安定ぶりを見せた春場所&夏場所の取口と名古屋場所&秋場所の取口は全く違うものを我々は目の当たりにしたわけですから、まずはここに優勝を逃す理由を求めるべきでありましょう。
また、自分の呼吸で立合うための工夫の余地はまだまだあるように思えます。
今場所の豪栄道などは良いお手本になるのではないでしょうか?
時間いっぱいでの待ったを推奨するつもりはないのですが、合気が得られそうもないと判断した時の豪栄道は迷うことなく待ったをして仕切り直しました。合気の立合を望めない現在の大相撲ですから、これもまた正解としなければなりません。
九州場所では、取口と立合に新たな一面の見られる稀勢の里であることを祈念して、秋場所総括に替えさせて頂きます。
もし照ノ富士が九州場所8勝7敗でカド番脱出したら、年間33勝で一年六場所大関の地位を維持、という(ちゃんと調べたわけではないが)新記録だか珍記録だかを達成します。
この照ノ富士の達成しそうな記録と、稀勢の里の「優勝なしで年間最多勝記録」が同時に達成されたら、いったい大関とは、大相撲とは何か、という問題が沸き起こりそうです。
照ノ富士、秋巡業には出るみたいですが、もう秋場所の後半は相撲になってなかったからなあ。大丈夫か?
豪栄道の全勝優勝はめでたいけれど、九州場所も優勝なら横綱昇進、っていうのが引っかかる。
で、上記の旨を別のブログのコメント欄に書いたら「豪栄道は秋場所で本来の力を発揮した。どっかの優勝できない大関とは大違いだ」云々と反論フルボッコで、ヘコんでおります。
shin2さん、コメントありがとうございます。
返信が遅れまして申し訳ありません。
照ノ富士についてはホント心配しておりますが、私は師匠を信頼することにします。
豪栄道については、まぁ今の内規では連続優勝したら横綱昇進てのは致し方ないかと思いますので論じませんが、どうも私の好きだった若島津の全勝優勝と重なるのですよね。彼も今場所の豪栄道のように、ガマンしてガマンして自分の形を得て勝負って感じの相撲で実に心を打つのですけど、自らが勝機をこじ開ける力としては不足感があって、二場所連続の優勝てのは相当にハードル高いんじゃないか?と思ってます。
あ、こんなこと書いたらフルボッコ食らいますかね?A^^;
大関に上がる基準がそうそう緩くないのに、1場所の負け越しでカド番になって、カド番で負け越せば落ちるというのは釣り合いが取れていないなぁと思う今日この頃です。
照ノ富士の場合は、治療に入るまでに膝の状態レベルを落としすぎましたからねぇ…
使えば良化が遅くなり、寝ていれば良くはなるんでしょうけど力が落ちては使い物にならず…
綱渡りでいくんでしょうね。
豪栄道ははっきり言って(前場所までの実績でいう)本来の力ではありませんよ。
豪栄道の大欠点の一つとして、相撲にスピードがないというのがありましたが、この場所は豪栄道としてはかなり速かったので、要するに別人のようです。
加えて、ツラ相撲のいい点を最大限に発揮したという側面もあります。
#隠岐の海戦や嘉風戦がもっと早く組まれていたら、どう転んだか分からないですけどね。
あと、もともと重心が低めという生得の利点もあります。
この場所の経験で場所の渡り方を掴んでいたならば、「本来の力」の意味するところがすっかり変わってしまうかもしれません。
まずは半年見ましょう。
相撲評論家さま、コメントありがとうございます。
私の言いたいことほとんど代弁してくれていて草生えますw
初めまして。相撲ファンのt-mです。
大関・稀勢の里関、予想通り年6場所で一度も幕内優勝ゼロで年間最多勝獲得となってしまいましたね(苦笑)。
この九州場所は後半戦でモンゴル勢3横綱全てに勝利(優勝した鶴竜にも唯一の勝利)、やっと悲願の初優勝に近づいたと思ったら…
13日目に平幕の栃ノ心戦でまさかの敗北となり3敗、これで又々優勝の夢が遠のいてしまいました…
しかし、今場所は過去12回の優勝次点となる12勝3敗の好成績を挙げました。
稀勢の里は周りが殆ど期待しないとあの大横綱・白鵬を63連勝でストップさせるなど、優勝争いに加わる横綱・大関には勝てるのに、
何故自身が優勝争いに加わってる時、周囲から過度な期待をされると、此処一番で敗れてしまうのか…
稀勢の里は本当に強いのか弱いのか、よく分からない大関ですよね(苦笑)
メンタルが弱過ぎるとか、「こうなったら絶対」の技が無いとか、色々な理由が取り沙汰されてますが、それだけじゃない気がします…
このまま稀勢の里は「無冠の帝王」のままで終わってしまうのでしょうか??
t-mさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
「予想通り」の件はブログネタとしては格好のものなのですが、それよりなにより優勝しかったです。
ただ、今場所は鶴竜が良すぎましたからね。結局鶴竜が1敗で終わったわけですから、振り返れば栃ノ心ではなく正代に星を落とした時点、すなわち横綱戦以前でThe End.だったわけでして、三横綱総ナメとその相撲内容をもってなぐさめとするほかないですね。
私はメンタルの問題ではないと思ってます。
簡単に言ってしまえば、いまだに円熟を迎えていないのでしょう。円熟を迎えたとき、賜杯を手にするのでしょう。まー、熟すことなく枝から落ちる柿もありますけどね(-_-;
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