祈祷師に頼った親を責めるのは酷かと

糖尿病を患った小学2年生の我が子のインシュリン注射を、祈祷師に言われるまま止めてしまい、残念ながら命を落とす結果となって祈祷師が逮捕されたというニュースを聞き、最初は「なんて馬鹿な親なんだ」と思ったものでした。

しかしながら、ラジオで再度このニュースを耳にして「子供が嫌がる注射を毎日打たねばならないのがつらかった」という親の動機を聞いたとき、私の脳裏に古い記憶が蘇りました。

私の子供は特定疾患の認定を頂くほどの重い小児喘息でした。(今は克服して元気に剣道やってます)

入院するため大きな病院に移ったとき、注射をする際の話。3歳にも満たない子供をネットで包んで動けない状態にしてから注射を打つのです。

幼稚園に入るか入らないかの年齢で、すでに掛かり付け医院で注射慣れするほど、小さな腕に毎回毎回注射していた時点でもう痛々しく思えて仕方なかったのに、突然ネットをかぶせられて身体の自由を奪われてパニクる我が子。

「ウチの子は注射に慣れてますから。素直に注射を打たせますから、ネットはやめて頂けませんか?」との抗議も「決まりですから」の一言で部屋の外に出され、病室から聞こえる我が子の泣き声に涙したものでした。

自分自身が多少のツライ目に遭ってもそう簡単に心が弱ることはありませんが、子供がツライ目に遭い、それを見た連れ合いが涙しているのを見ると、ガタガタに心が乱れるものなのです。それをつい十数年前に経験していたのに、すっかり忘れてました。

もし、あのとき。件の祈祷師のような者が心の隙間に付け入ったならば。
今回の事件と同様に、祈祷に頼ってステロイド投与を止めてしまうなどして、子供の命を奪う結果になった可能性は充分にあったでしょう。

「子は親を選べない」などと結んでいた記事も見ましたけれども、過去を思い出した今は、祈祷師に頼ってしまった親を責めるのは酷であるように思えます。


まず、心は誰しも弱いものだ、と認めてしまうことが肝要かと思います。
弱いと自覚しているだけでも、詐欺師の類に付け入られる隙が減りますので。

そしてもう1つ。医療機関で働く医師や看護士・介護士が多忙かつ責任過剰で、身体とともに弱まっている患者の心のケアまで手が届いておらず、ましてや患者家族の心のケアなど守備範囲の外の外、という現状が、祈祷師やエセ宗教が医療の問題に土足で踏み込むようなことを許してますから、これが改善されなければなりません。

この痛ましい事件を「アホな親のやったこと」で片付けることなく、難病の小児患者および家族へのケアを良い方向に改めるキッカケにしてほしいものです。




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Comment (1)

  1. kanimimi

     岡野工業の岡野しゃちょーさんにより
    (前の会社にいるときにとある装置を取り付けに行った事あり 其の時ラーメン御馳走になりました)
    インスリン注射用に細い注射針が作れてましたとはいえ、
    子供の薄く繊細な皮膚には負担がかかるのでしょう。

     
     子を思う親の愛により生まれた心の綻びに付け込んだ、
    自称祈祷師は『市中引き回しの上獄門貼り付け by鴻池 祥肇』

    が相当だと思います。
    あまつさえ、(男児が亡くなったのは)親が悪い発言ですからね。

     実は私も高校生時分に、
    【特定疾患】の認定を受けて医療費を…
    って話を主治医からされた事があるプロの小児科患者(笑)でした。
    (治療の甲斐あってお蔭様でこの年まで生きてこれました)
    色々な思いがあり断ったのは関係ないので書きませんが、
    100日間連続で100cc注射を打ち続けた事があります。
    お陰様で両腕の血管は固くなっていますが、
    高校生時分って事で耐えらたという事だともいます。

     幼い子供に医療行為をするというのは
    なかなかに大変な事だというのと、
    医療を受ける本人(子供)の心身の負担は計り知れません。
    また、親も子に対し不憫でならない申し訳ないという思いがあると思います。

     43にもなっても私に母は、
    『丈夫に産んであげられなくて申し訳ない』
    的な事を申します。
    43歳迄生きてこれてもです…。
    甚ノ助さんもご存知です(笑)が、
    私みたいに【丈夫な見た目】を有してもです。
    親の愛というのは深く暖かく尊いという事です。

     お陰様で、
    私は良い専門医・看護師(当時は婦)
    めぐり合って今に至ります。

     病床児のケアは総合的に行う
    (親・地域・学校)
    が大事という事ですよね。

     ‥ただ、昨今良く耳にする
    モンスターペアレント&ペイシェント
    も残念ながらおりますので、
    小児科医師・看護師さん達の守備範囲は狭くなるのは
    致し方が無い気もします。

    Reply

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