賭博事件に思うこと
プロ野球選手による野球賭博事件ですが、NPBおよび読売ジャイアンツ球団が拙速な幕引きを図ってます。
これを世間が許すのならば、大相撲で同じ問題が起きたときのあの騒動は一体なんだったのでしょうか。
世間一般の認識では、大相撲八百長問題として上塗りされているかもしれませんのであらためて述べますけれども、あれは元・貴闘力の大嶽親方(当時)と大関・琴光喜の野球賭博に関連した金銭トラブルが表面化したことがそもそもの発端でした。今回の件とまったく同じ構図です。
もちろん、現役時代は人気力士だった部屋持ち親方と現役大関の醜聞という点ではインパクトが大きかったわけですが、力士による野球賭博に対し、プロ野球選手による野球賭博という点では、今件の方がより深刻な事案であるはずです。
しかしながら、警察、マスコミ、文科省、NPBの対応は、大相撲野球賭博事件のときと比べて雲泥の差があります。
大相撲賭博事件のときを振り返ります。
警察は当事者の任意事情聴取はもちろんのこと、相撲部屋も躊躇なく家宅捜査。
マスコミは警察からのリークを喜々として報じて叩きに叩きましたし、文科省は公益財団法人許認可権をチラつかせつつ強い行政指導を発揮。
四面楚歌の日本相撲協会は全力士をヒアリングし、野球賭博のみならず、仲間内による花札、麻雀、ゴルフなど一般常識的にはほとんど問題視されない程度の仲間内の賭け事まで吐露させて報告するも、各方面の納得は得られませんでした。
力士の大麻事件等で信用を落としていた相撲界の自業自得である面は否めないにしても、有ったことの証明は出来ても無かったことの証明は出来ないのですから、サンドバッグになりつつ言われるまま捜査協力するほかなかった日本相撲協会は、とうとう全力士の携帯電話を差し出すところまでいきました。
この過程の中で警察は、携帯電話によるメールのやり取りに一部力士の間で白星の売買(いわゆる八百長)があったことを強く匂わせるものがあることを把握しており、これを文科省とマスコミにリークしたことで大相撲八百長問題に発展するわけですが、そのことの是否はここでは問いません。
これに対し、今回のプロ野球選手による野球賭博事件への対応は?
警察は事情聴取どころか刑事事件としての取扱いさえも躊躇してますし、マスコミは武蔵川理事長(当時)を夜討ち朝駆けしたような取材はしませんし、文科省は野球くじの機運をもがれて舌打ちしつつダンマリ決め込んでますし、NPBはロクな調査もせずに二軍選手3人をスピード処分しての幕引きを図ってます。
プロ野球選手による野球賭博という点で今件の方がより深刻な事案であるにも関わらず、大相撲野球賭博事件のときの対応と比べ、なぜ警察もマスコミも文科省もNPBも、揃いも揃って手ぬるいのでしょうか?
私の勝手な推測を述べますと、まず警察は胴元まで辿れないものと見切りを付けてるのでしょうね。大相撲のときでさえ大山鳴動して鼠一匹でしたから、今から捜査したところで痕跡も消されているであろうこと確実ですからね。
マスコミはジャイアンツの親企業である読売新聞社の存在があります上に、年間の観客動員数がMaxでも90万人に満たない大相撲に比べ、ジャイアンツ単体で約300万人、セパ合計で2400万人というプロ野球ですから、敵にするよりは味方しておいた方が何かとお得なのでありましょう。
文科省は東京オリンピック関連の諸事に力が割かれていて、正直な話、あまり大事にされても注力できる状況にないのでしょう。
周りがそんな状況ですから、NPBもナメているのですよ。クロ確定の二軍選手3人を無期失格にすりゃ納得してくれるでしょってね。
大相撲の事件のときは煮え湯を飲まされた思いをした大相撲ファンでありながら、一方ではカープを応援するプロ野球ファンでもある私、心中複雑です。
このように、周囲の状況や世間の風評に左右されて、一方では広範に徹底調査の上で厳罰を処したかと思えば、また一方では矮小化を許してロクな調査もせずに最小数の処罰で終わるというのは、法治国家にあるまじき状況です。
第三者による調査機関を常設し、問題が起きればいつでも徹底調査できる体制が必要でしょう。
調査により事実確定するまでは選手の権利は保証されるべきですし、選手側が弁明する機会も与えられるべきでしょう。
そういったものの一切が不足しているということを、今回のプロ野球選手による野球賭博事件が如実に表してます。関係者の猛省は当然でありますが、スポーツ界全体で考えねばならない課題だと思います。
ダルビッシュの弟とかの名前が上がったから、相撲関係者(OB含む)の名前が出ずに終息したことで、今回はオンの字、としなきゃイカンのかなあ。
正直者はバカを見る、って言っちゃダメなんだろうけど、八百長メールの時の放駒理事長の下した処分は正解だったんだろうか。引退に追い込まれた力士の中に、私の贔屓が何人かいたので、今でも悔しい思いが甦る。
今場所、蒼国来調子良さそうだ。三賞取ってくれたらうれしいな。
shin2さん、コメントありがとうございます。
遅レスで申し訳ありません。
「八百長メールの時の放駒理事長の下した処分は正解だったんだろうか」
これにつきますね。文字どおり、墓場まで持っていかれてしまいました。
私、白馬に期待してまして、当人も八百長を否定していましたし、今もって悔しいです。