九州場所途中感想

職場移転に伴い今月より通勤距離が2.6倍、30分だった通勤時間も3倍強の1時間40分となりまして、ほぼ恒例化していた取組文字起こしTweetも出来ない状況ですが、録画した深夜場所を頼りつつ何とか本場所を追っております。
では、九州場所途中感想、いきましょうか。

本来でしたら15日間を5日間づつ区切っての感想を述べたいところ、色々と立て込んでおりまして、九日目終了時点というハンパなところでの感想になりますが、ご容赦を願います。


あ、そうそう、途中感想に入る前に少し述べたいことがありまして。

私は稀勢の里の優勝を心待ちにしてはおりますけれども、あまり優勝争いに目を向けてしまうと勝ち負けに気持ちが囚われてしまい、武芸としての相撲を楽しめなくなりますから、それを戒めるためにも終盤戦(十一日目以降)に入るまでは優勝争いの話をなるべく避けるようにしております。

が、近年はまだ序盤戦のうちから実況が「これで全勝力士は○人になりました」などと言うようになり、今場所はとうとう二日目にそれを聞きました。さすがに「白鵬はまだ取組前で1勝ですが…」とバツが悪そうでしたけれども、ちょっと度が過ぎていると思います。

序盤の1敗や2敗など、中盤戦で盛り返せばどうなるか分からんですよ。序盤を5戦全勝で走っても中盤で崩れてしまった例は幾多もあるじゃないですか。
序盤戦はそんなものに一喜一憂するよりも相撲内容から各力士の好不調を測ることの方が観る側に有益であり、プロである実況と解説にはそこに注力して頂きたいと心より願います。


では九州場所序盤感想。まずは九州場所そのものについて。

満員御礼連続記録が80日で途絶えたことについてはすでに述べましたが、例年にも増して観客の質が悪いように思えます。

手拍子コールは常態化してますし、とくに歓声ならぬ罵声がひどい。
ことに四日目の白鵬vs嘉風の相撲に対する罵声は、アンチ白鵬の私でも許容できない、文字にするのも躊躇してしまうものでした。ま、あの相撲では罵声を浴びせたくなる気持も分かりますけれど、あれは人としてダメですよ。警備の鳴戸(元・琴欧洲)が声の主をつまみ出してもよかったくらいにダメ。

中には、見かけたこちらが思わず見惚れてしまうような観戦姿勢で臨まれている方も多数いらっしゃいますけれども、それも霞んでしまいます。

福岡国際センターを満員にすることも大事ですが、悪貨は良貨を駆逐する結果となる前に、観戦マナーを向上させる施策に取り組みませんと、大相撲の未来は暗いものになりますよ。これは九州場所に限った話ではなく、東京、大阪、名古屋も同様です。


土俵上はと言いますと、序盤は幕内下位に淡白な相撲が多いように思えましたが、中盤に入って盛り返しを感じつつあります。

幕内上位は序盤からなかなか面白いですね。各力士の個性がよく出ている感がします。
それに加え、横綱大関陣が(手負いの照ノ富士と迷走中の豪栄道を別にして)あまり星をこぼさないため、解説と実況による決まり文句的な敗因分析を聴かずに済んでいることも、面白く観られている理由のひとつかもしれません。

ただ、星勘定が始まる終盤に入ると立合が汚くなる傾向が強まるので、優勝争いの熾烈化が相撲内容の向上につながることを期待しつつも、同時に懸念しているところであります。


では、各力士に対する序盤感想は贔屓の稀勢の里から。

左おっつけの無双感が戻ってきたことは好材料かと思いますし、立合で先手を取られても慌てないところも評価して良いかと。嘉風戦ではポカをやらかしましたが、状態は良いと診てます。
しかしながら、立合の緩さは相変わらずで、これが意図的なものであるのか否かは判断が付きかねてます。

また、いつもにも増して立ち腰であるように見えるところも気になる点ではありますが、結果的に前傾姿勢でいるときよりも結果が安定しているので(相撲内容は安定していないが)、あの姿勢で土俵を割らないのであれば、評価を改めねばならないのかなぁとも思ってます。


もひとつ贔屓力士の感想。高安について。

先場所は途中休場で大きく負け越した為に幕内下位で相撲を取っている高安ですが、よくもまぁ白星を積み重ねているなぁと驚いてます。それほどに本来の高安の相撲内容とはかけ離れてます。まだ故障が癒えてないのでしょう。序盤はまるで相撲になってませんでした。

対戦相手じゃなくて自身のケガと闘ってる感じ。

これまでの稽古の貯金と幕内上位戦で培った勝負勘で白星を拾っての九日目勝ち越しは立派ですが、願わくば、故障に故障が重なりませんようにと祈るばかりです。


ケガといえば強行出場した照ノ富士ですが、ヒザの状態はかなり悪い様子。
厳しい伊勢ヶ濱親方が出場を許すからには大関の相撲は取れるという判断なのでしょうが、蹲踞さえ辛そうなのは観ているこちらがキツイです。
序盤は意外とも思える抜群の相撲センスを発揮して星を拾ってましたけれども、対戦相手の番付が上がるに従って苦しくなってきました。

今場所の横綱大関陣の安定感を考えると勝ち越しは至難の業。ケガを悪化させる前に休場してほしい。


ヒザの悪い大関といえば琴奨菊ですが、数年ぶりに観る元気な琴奨菊ですね。
相手の左差しの腕を右で抱え込む悪癖は相変わらずですが、立合からの出足の鋭さと腰の低さがヒザの故障を感じさせません。
逆に言いますと、ヒザに負担をかけない相撲を求めた答えが、立合から一気の出足で寄り立てる速攻相撲なのでしょうから他の選択肢はほぼ無いわけでして、対戦相手からすると対策を取りやすいとも思うのです。
馬力だけでは圧倒出来ないであろう横綱大関陣に通用し得るかと考えますと疑問符が浮かびますが、ご当所力士の筆頭として頑張ってほしいものです。


全勝の白鵬について。
ようやくかい!というツッコミが聞こえそうですが、今場所の白鵬についてはわりと評価している私です。

四日目の嘉風戦を除けば立合の外連味が許容範囲内なのですよ。
ただ、その嘉風戦で現れたように、相手の「先」を一旦受けてからの(白鵬本人が標榜する双葉山のそれじゃなくて剣道で言うところの)「後の先」で対処するという、円熟味を感じさせる相撲内容を面白く感じてます。

うーん、「後の先」は誤解されそうだから撤回しますか。

もっと俗っぽく言い直しますと、かつてアントニオ猪木が標榜していた「風車の理論」というやつですね。やぐら投げに仕留めた隠岐の海戦などはその最たるものでしょう。

ただ、実況解説陣が言うほどに盤石かと問われるなら、そうでもないかと。
いまだ初日の出ない隠岐の海に土俵際まで攻め込まれたこと一つとっても、横綱大関陣の圧力がかかっても大丈夫な風車には思えないのですよ。

白鵬の風車が持ち堪えるにせよ壊れるにせよ、いわゆる「黒い白鵬」が出現しないことを祈ってます。

あ、追伸。
西からの入場を見慣れていないだけかもしてませんが、白鵬の土俵入り、また改編されてませんか?


日馬富士は徐々にスピードと相撲勘を取り戻しつつありますが、まだ力強さには欠けているように思え、組み合ったときの心配が先立ちます。とりあえず今場所はケガなく二桁勝ってもらえれば私としては満足。

全くまとまりを見せない他の2人の横綱土俵入りに対し、横綱日馬富士による旭富士直系の土俵入りだけが救いなので、とにもかくにも引退だけはしてほしくないのですよ。

もちろん万全の状態での荒ぶる日馬富士も観たいのですが、まだそれを望める状態ではないこと、ここまでの相撲で分かります。焦らずに故障個所の良化をと願ってます。


鶴竜の3敗は、実に鶴竜らしい星の落とし方で、まー、そーゆーものですよ。
あの横綱は必ず引くからそこがチャンスってのは幕内力士全員の共通認識。それでも鶴竜の抜群の相撲センスによる引きは決まるのですから、諸刃の剣であること前提で、私は鶴竜の引きを認めてます。

でも、それを認めるのと、応援するしないは別の話でして、序盤の平幕戦で引きによる墓穴で躓くような横綱は野暮ったくて嫌ですね。

ま、好悪は別にして、井筒伝統の両差し相撲には磨きがかかっており、終盤戦でのトリックスターとしては期待できると思います。対戦者は要注意でありましょう。


えーっと横綱大関陣では豪栄道だけ述べてない・・・ノーコメント。
低迷理由もなにも、毎日相撲が違うものだから、さっぱり分からんです。


横綱大関陣がいつもの場所ほどには星を落としてくれませんから、関脇以下の幕内上位の星が伸びないのは仕方ありませんね。
終盤戦における幕内上位による星のつぶし合いが熾烈化し、それが相撲内容に反映されたら面白くなると思います。


平幕からは松鳳山と蒼国来について言及しておきたい。

十両から戻ってきた松鳳山ですが、黄金色のマワシは復活させませんでしたね。
黒い肌に黄金色は似合ってましたが、あれにしてから良いこと一つありませんでしたから、ゲンを担いでのことかなー?とも思ったのですが、本人の言によれば心構えの変化によるものみたいですね。

要約すれば、十両降格時は心の驕りによる体と気持ちの乖離があったとのこと。おそらく黄金色のマワシは(後援者からの勧めがあったにせよ)その現れだったのでしょう。

似合っていただけに黄金色のマワシを着けた松鳳山を観られないのは残念な気もしますが、松鳳山の相撲が復活したことを祝いたい気持ちです。


それと蒼国来ですが、今場所は凄い相撲内容を魅せてくれてます。

自分より大きな新入幕の御嶽海を吊り出すやら、左四つでは第一人者と言ってよい宝富士を左四つで制するやら、魁聖に上手をガッチリ取られて寄られるも徳俵で残すや寄り返して勝つやら、まるで自分がアンコ型の大型力士であると勘違いしているかのような相撲で大型力士を倒しまくってます。

しかしながら、やはり軽量を突かれて一気に土俵外へ持っていかれて4つも星を落としており、これだけの相撲内容を示しながらも今場所も二桁届かずで技能賞の声も掛からない、といういつもの結果になるのかなぁとも懸念してます。

どうか予想が外れますように。


気がつけば超の付く長文になってしまいました。
駄文に付き合わせてしまったことをお詫び申し上げます。

では、十日目以降も九州場所を楽しみましょう。


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