JIS慣用色名と力士の締め込み
もう相撲の話はいいだろ。
と剣道部からツッコミが入りそうですがもう1席。A^^;
先の大相撲秋場所では宝富士が締め込みを新調しましたよね。
NHK地上波による実況の中で、その新しい締め込みの色を「江戸紫」と表現してました。
それを聞いて海苔の佃煮を連想してしまう私も相当な野暮天でありますが、さて、どのような紫色のことを江戸紫と呼ぶのか?と興味が湧きまして、調べてみましたよ。
Google先生にお訊ねしたところ即答を頂き、ふむ、江戸紫のカラーコードは#614876ですか、どれどれ…と確認したのですが、どうも宝富士の締め込みの色と印象が大きく異なります。
光の当たり具合、染色後の落ち着き、力士の汗、といった要因によって色の見え方や感じ方が変わるのは分かりますが、それにしても…という印象です。
そこで、白黒ハッキリさせるべく、JIS規格を当たってみることにしまして、再度Google先生にお訊ねしたところ下記サイトを紹介してもらいました。
読んでなるほど。
私はてっきり、JISが色の名前にカラーコードを割り振って規格化しているものと思っていたのですが、そうではなく、かなり幅を持たせてます。
考えてみればJISとは日本工業規格。赤を指定したのに#ed1a3dではない!というようなクレームが頻発しかねない規格など作るわけがありません。
かといって、指定した色があまりにもかけ離れたものにならない程度には規格を定めており、よい落とし所だなぁというのが実感ですね。
むしろ、JIS規格に日本独自の色の呼称が慣用色名として盛り沢山に含まれていることに驚きました。JIS規格で定められているということは、様々な製品に対してその色を指定した発注が可能ということであり、そのニーズがあるということですからね。
隆の里の鳴戸部屋の関取は臙脂(えんじ)の締め込みでした。
稀勢の里の締め込みは茄子紺(なすこん)てのも定着しました。
銀鼠(ぎんねず)の締め込みは武双山の代名詞。
他はあまり聞きませんが、白鵬の黒茶(くろちゃ)、隠岐の海の胡桃染(くるみぞめ)、常幸龍の紅檜皮(べにひはだ)、安美錦の鉄紺(てつこん)などをGoogle先生が拾ってきてくれました。
いずれも粋な名前の色ですよね。(江戸紫から海苔の佃煮を連想した私が言っても説得力ありませんが A^^;)
その全てがJIS規格に登録されていることに驚きましたけれども、逆に言えば、JIS規格にあるからからこそ製造元に発注できたというわけなのですね。
おそらくは、そういった色の指定をして作られた締め込みであるにも関わらず、黒とか青とか赤とかいった系統色でテキトーに表現されている例もあるのではないでしょうか?
締め込みにその色を選択したのには、贈る側の気持ちや力士の意思が多少なりとも働いていると思いますので、ひとつ、実況や解説を務める方には取材をして頂いて、テレビやラジオの音声に載せてほしいなぁと切に願います。
あ、あと行司さんの装束の色も。
あの鮮やかな色こそ主義主張が含まれていると思いますので、実況や解説を務める方には取材を(以下略
まだまだ締め込みデビューしていない日本の色がJIS規格に沢山あります。各力士の後援者の皆様、贔屓の力士に締め込みを贈る際にはJIS規格をご確認くださいませ。
おはようございます!
色名については古いものでは平安時代から使われているものもありますので、当然、JIS規格以前ということになります。
おそらくJIS規格は日本色彩研究所で定めたものを使用してますので、その多くはそれに準じて命名していると思いますが、特に決まったルールがあるわけでなく、資料によって大きな幅があるのが現状です。
たとえば江戸紫は青みがかった紫で、それに対して赤みがかったのが京紫と呼ばれます。いずれも紫草の根っ子で染めた布の色ですが、染め物も職人によって色の違いはあります。
大相撲がどんな基準で締込みの色を決めてるかはわかりませんが、その力士の思いなどが伝わればよろしいのではないかと思います。
なお、わたしは長いことDICカラーガイドの仕事をしていて、色名も知らない方ではありませんが、紅檜皮という色名は初めて聞きました(笑)。
コメントありがとうございます♪
遅レスでスイマセン。
これだけ多彩な色名があるということは、日本の歴史も意外とカラフルに彩られているものなのかもしれませんね。その延長に相撲があると思うと、感慨深いものがあります。
締め込みの色も千代の富士以降は黒が主流となってしまっている感があり、そろそろ転換期かなぁとも思うのですが。