世界卓球「コリア」への疑問

世界卓球選手権団体戦ハルムスタッド大会にて、女子準々決勝での対戦が決まっていた韓国と北朝鮮が試合を行わず、南北合同チーム「コリア」を結成して共に準決勝に進むことになったわけですが、これに異を唱える声が弱く、むしろ歓迎する声の方が大きいことに疑問を覚えました。

過去にも、卓球を含むいくつかの国際競技に南北統一チーム「コリア」として参加したことはありましたし、今回もそれであれば特段に述べる意見など私には無いのですが、今回は大会期間中、それもグループリーグを経ての決勝トーナメントが準々決勝まで進んでからのことであり、こんなことを許してはスポーツの根幹である公平性が根底から覆ってしまいます。

準決勝で「コリア」と対戦する日本の有利不利などは小さなことです。
や、日本にはほとんど影響が無いでしょう。不満の声を上げて当然の国は他にあります。

まずはフランス。
世界卓球は世界ランキング24位以上の国と地域に出場資格が与えられますけど、フランスはアメリカと同じランキング24位で、どのように決定したのかは分かりませんが、アメリカが出場権を得て、フランスは次点となって出場権を逃してます。
つまり、韓国と北朝鮮が初めから「コリア」で出場していれば世界卓球への出場枠が1つ空き、そこにフランスが出場できていたわけですから、フランスは文句の1つも述べたいところでしょう。

それから、タイとオランダ。
韓国と同じグループリーグで4位に終わったタイと、北朝鮮と同じグループリーグで4位に終わったオランダは、グループリーグ終了時点で「コリア」が結成されたなら、タイかオランダのどちらかが3位に繰り上がって決勝トーナメント出場権を得られた筈なのですから、タイとオランダに不満が募るのも当然でしょう。

最後にロシア。
ロシアは決勝トーナメントの初戦で北朝鮮に敗れましたが、決勝トーナメント前に「コリア」が結成されたなら、決勝トーナメントの枠も繰り上がって北朝鮮より格下のチームが初戦の相手となっていた筈なのですから、ロシアだって腹立たしく思っているでしょう。

これほどに大きな不公正を生じる措置を「ルールを超えて」許した国際卓球連盟(ITTF)に対し「それはおかしい」という声を上げねばならないところ、「平和のため」という錦の御旗を前に腰砕けとなっているメディアに対し、情けなく思います。

これと同じ事をサッカーW杯でFIFAがやっても許されると思いますか?

スポーツの政治利用は、そのベクトルが平和を向いていようが、代理戦争であろうが、そのためにルールと公平性を歪めることになり、結果としてスポーツの価値を低めてしまうでしょう。

国籍に関係なく、スポーツに関わる者であるならば、今回の世界卓球における南北統一チーム「コリア」結成に「No!」と言うべきです。




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