「共謀罪(テロ等準備罪)」の不誠実さ

本日は土曜日。
読売系のウェークアップ!ぷらすでも「テロ等準備罪(共謀罪)」ではなく「共謀罪(テロ等準備罪)」というテロップを用いるのですね。
てことは、明日=日曜日の報道系番組もほとんど「共謀罪(テロ等準備罪)」がテロップに用いられるのでしょうね。
なんだかなーと思っております。

6/15(木)に参議院本会議にて「テロ等準備罪」を創設することを柱とする「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」が与党である自民党と公明党に野党である日本維新の会などの賛成多数で可決されたわけですが、これに反対する4野党と批判的な論陣を張るマスコミが同法案を「共謀罪」と呼称することは、実に不誠実な姿勢だと思うのです。

共謀罪とは何か?

まず1つには「何かしらの犯罪の共謀それ自体を構成要件(ある行為を犯罪と評価するための条件)とする犯罪の総称」です。
国会の可決により創設されることになった「テロ等準備罪」は確かに共謀罪という括りに含まれるものですが、それをわざわざ総称で呼ぶことは、諸外国のそれぞれに存在する名前も成立要件も異なる共謀罪や、極端な例では戦前の治安維持法さえも含まれる印象を与えることになります。

総称ではないとするならば、共謀罪とは何か?

それは、2003年に小泉内閣が提出した「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」、2004年に小泉内閣が提出、2005年に再提出した「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」、2006年に提出された同法案の与党修正案と(当時)民主党修正案、これらによって創設されるものとしていた「組織的な犯罪の共謀罪」のことになります。

しかし、このたび可決されたのは「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」。その略称は「組織犯罪処罰法改正案」であり、これによって創設されることになったのは「テロ等準備罪」です。
どこにも「共謀罪」という言葉は含まれておりませんし、どのように略しても「共謀罪」にはなりえません。

百歩譲って、かつて創設を目指していた「組織的な犯罪の共謀罪」と「テロ等準備罪」が中身の同じものであるのなら「共謀罪」と呼称することも理解できますが、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定している点、計画行為に加えて実行準備行為が行われたときに初めて処罰される点などが「組織的な犯罪の共謀罪」とは異なるという政府の主張は事実ですし、日本維新の会が付則に「取り調べ可視化の対応の検討」を盛り込むなどの修正を条件に賛成に回ったという点を考えましても、「組織的な犯罪の共謀罪」=「テロ等準備罪」とは言えません。

なのに、いまだに共謀罪と呼ぶ。あるいは「共謀罪の趣旨を盛り込んだテロ等準備罪」と呼ぶ。
印象操作に他ならぬ、実に不誠実な姿勢です。

私も含みますけれども、同法案の必要性は認めながらも両刃の剣的な危険性を感じて一抹の不安を持つ国民は少なくありません。

だからこそ、凶暴罪との韻を踏むかのような共謀罪との呼称を全面に押し出すのではなく、かつての「組織的な犯罪の共謀罪」と今回の「テロ等準備罪」の違いをハッキリ認識した上で、それでもなお問題が残る点を指摘し、代替案に値する修正案を提示するという誠実な姿勢が、同法案に反対する野党と、同法案に批判的な論陣を張るマスコミには必要だったと思います。

その意味において、今件における日本維新の会の姿勢は高く評価できます。
説明下手と揚げ足取られ具合が目立った政府および与党、不誠実かつ非建設的な主張が中間層の共感を妨げた4野党、与野党双方が評価を上げたとは言えない中、一筋の光明にも思えます。

対して、既存メディアのマスコミは総じてダメですね。
よく、朝日・毎日vs読売・産経みたいなことが言われますけれども、双方共に印象操作ばかり熱心で、まずは正しい情報を提供するというマスコミの第一義たる仕事がおざなりになってます。

少しネットでファクトをさらえば私のような一般人でもマスコミの印象操作に気付くようになったということは喜ばしいことである反面、真の意味での報道のプロフェッショナルが限られているということでもあり、マスコミ各社にはもう少し危機感を持って頂きたいものであります。


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