(2/4)炎の体育会TV剣道部

昨夜はTBS系列『炎の体育会TV』にて、関東学院大剣道部女子チームvs炎の体育会TV剣道部が放映されました。録画したものを見終わりましたので、剣道関係者としての視聴者視点でちょいとその話を。

まず結果から。

関東学院大2/2 – 2/2炎の体育会TV剣道部
(代表戦で関東学院大が勝利)※数字は「勝者数/取得本数」

【先鋒戦】下地(四段) ○ メ- △ 月亭方正(一級)
【次鋒戦】笹川(四段) ○ コ- △ ゴリけん(三段)
【中堅戦】丸山(二段) □ – □ 原口まさあき(二段)
【副将戦】東野(四段) △ – メ○ 小川直也(初段)
【大将戦】山谷(四段) △ – メ○ 渡辺正行(五段)
【代表戦】丸山(二段) ○ メ- △ 渡辺正行(五段)

※○=勝ち、△=負け、□=引き分け
※メ=メン、コ=コテ

剣道をある程度ご存知の方には首をかしげてしまう結果だと思います。

関東学院大は実績ある強い剣道部です。
今年度の神奈川県学生剣道選手権大会で男女ともに準優勝してますもん。
段位の差、年齢による身体能力の差、そして鍛錬の差を考えるならば、5-0で関東学院大が勝って当たり前の対戦に思えるでしょう。

しかしながら、試合時間2分の1本勝負なのですね。
試合時間2分なら先鋒~副将が40代、渡辺正行さんに至っては61歳というおじさま軍団でも戦いきれますし、1本勝負ですから出会い頭の事故が起きないとは言い切れません。

実際、副将戦は東野選手が小川直也さんの出端にメンを載せにいったのがミスってもらったメンでしたし、大将戦も山谷選手が渡辺正行さんの剣先が浮いたところに打ったコテが拳に弾かれてメンをもらいました。剣道はそういうことが往々にして起きます。だから三本勝負が採用されているのでしょう。

さらには不正な鍔迫り合いによる時間空費が見過ごされる(テレビ的にはこれを反則とした際の説明を入れる尺が惜しいのでしょうが)となりますと、リーチの長さや腕力でハンデのある女子選手には難しいかもしれません。

なので、一部でささやかれているような「やらせ」ではないとは思うのですが、私としてはこういう企画はあまりよろしくないなぁと感じました。

同じ大学剣道部でもサークル剣道部ならともかく、体育会剣道部ですからね。しかも神奈川県で東海大に次ぐ2位という剣道部ですよ。

もう本気も本気で剣道に取り組んでいる剣道部が、こう言っては何ですけど、剣道歴に大ブランクのある40代のおじさまチームとスコア的に競った試合をするなんてのは、小中学生に剣道を指導している私らには悪夢でしかありません。

さらには、私らが剣道を教えている小中学生は、彼女達がどれだけ強いのか、実績を知らなくともテレビ画面から伝わる感覚で理解できます。そして、渡辺正行さんを除く炎の体育会TV剣道部の剣道がどれだけへっぽこなのかも充分に理解できます。

なのに、代表戦までやって大善戦という大団円で剣道コーナーが終わるのですからね。
剣道を知らない人が見れば誤解を招きますし、剣道を知ってる人が見れば「やらせ」を疑うか暗澹たる気分になるかのどちらか。誰得?としか言い様がありません。

昭和の昔、剣道がドリフやたけし軍団あたりにコントのネタとして使われたり、森田健作主演のテレビドラマのような変に誇張された剣道観といったものと比べればはるかにマシでありますし、剣道人口の維持増加のためにもメディアへの露出は喜ぶべきなのかもしれませんが、ちょっと昨夜の『炎の体育会TV剣道部』は受け容れがたいものがありました。正規の試合規則で、芸能人同士で試合するのがよろしいかと。

~追伸~
関東学院大女子剣道部員の皆様おつかれさまでした。
間違っても貴女達を批判するつもりは微塵にもございません。




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