稀勢は名古屋13勝で横綱にしてよい

や、優勝しないと横綱昇進を認めないであろうことは百も承知ですよ。
あくまでも私の個人的見解。ただし贔屓視点は可能な限り排除したつもり。

柏鵬時代ってのがありました。
「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉が生まれたくらい、大相撲が隆盛を極めていた点で栃若時代に次ぐ黄金期です。

ほぼ1960年代の話、すなわち69年早生まれの私でさえ生前の話なので、ちょいと調べたのですけどね。

柏戸の横綱昇進前3場所の成績は10-5、11-4、12-3優勝同点。
大鵬の横綱昇進前3場所の成績は11-3、13-2優勝、12-3優勝。

この成績で1962年初場所に横綱同時昇進を果たしてます。

2場所連続優勝を果たした大鵬は文句なしの横綱昇進でしょうが、柏戸は大関2場所目で初優勝しているとはいえ、現在の昇進基準であれば絶対に昇進できない成績です。

もちろん栃若という巨星が相次いで引退した直後という追い風があったにせよ、同時昇進させた結果の柏鵬時代という隆盛。当時の理事長は元・双葉山の時津風。さすがの慧眼と言うほかありません。

横綱昇進後は毎場所のように優勝する大鵬に対し、柏戸の横綱昇進後初の優勝は3場所の全休と1場所の途中休場を含む12場所目の1964年九州。以降は年1回くらいのペースで単発3回の優勝。

柏鵬は通算優勝回数で5:30という6倍の大差。
それでも「柏鵬時代」という名前が付いたのは、マスコミ戦略と広告が上手かっただけではないと思うのですよ。

柏戸に横綱の名に相応しい心技体が備わっていて、現在の白鵬どころではない最強横綱である大鵬の対抗として皆が期待できる力士であったからこその「柏鵬時代」だったと考えるのが自然というものです。

さて、稀勢の里は13-2、13-2ときての名古屋場所になります。
1961年九州場所を迎えたときの柏戸の成績より5つも多い白星を積んでます。

ここで、稀勢の里が優勝を惜しくも逃したものの、昇進評価対象の3場所に成績が13-2、13-2、13-2と並んだとき、優勝という結果だけが伴わないことを理由に横綱昇進を認めないとする判断を是とするならば、柏戸を、あの柏鵬時代を否定することになるのだけれども、そのへんを横審や審判部は分かっているのかな?

もっと言えば、角聖の1人に数えられる双葉山の評定に否を唱えることになるのだけれど、それは現代人の蛮勇ではないのかな?と思うのです。


長々と書いてしまったけれども、実は「稀勢は名古屋13勝で横綱にしてよい」という個人的見解の主論はここではありません。思いのほか筆が乗ってしまって長文化しただけで、もっと単純な話。

先々場所の13-2、先場所の13-2という稀勢の里の成績は、2場所連続優勝した白鵬に準ずる成績でした。

対して残り2人の横綱はといえば、日馬富士が9-6、10-5。鶴竜が10-5、11-4。
いずれも稀勢の里より2差以上も下の成績です。

仮に名古屋で稀勢の里が13勝で優勝を逃したとするならば、彼らのうち少なくとも片方は3場所連続で稀勢の里より下の成績になります。

ここでもし、稀勢を13勝でも優勝しなかったから横綱昇進を認めないとするならば、「その横綱として認められない稀勢より3場所も連続で下回る成績の力士が横綱であることはおかしい」ということになってしまいますから、その横綱には引退勧告でもしないことには釣り合いが取れません。でも、そんな気概が横審や審判部にあるとは思えませんし、その必要も無いと思ってます。

そして稀勢が13勝を挙げればおそらくは準優勝でしょう。
幕内で2番目の成績を3場所連続で収めながら、ランキング=番付は第4位に留め置きだなんて、他の競技で例があるのでしょうか?

無い。おそらくは無い。
まったく非論理的な話であり、よりスポーツライクな競技であるほどそのような話にはならないはずです。だから、無いと断言して良いと思う。

以上の考察による結論。
稀勢は名古屋13勝で横綱にしてよい。


なお、昇進基準における品格の部分、すなわち心技体の心の部分については、贔屓視点を排除するため今回は述べません。

そもそも連続優勝が絶対条件になったのは北尾のせいだけど、優勝しないまま横綱を終えたことが問題となったのではなくて、当時の横審委員だった故・稲葉修が北尾の品格を問題視して絶対反対していたのを押し切って横綱に昇進させたのに、部屋のおかみさん蹴飛ばしたなどと噂される数々の問題行動と当時の立浪部屋内部の問題によって廃業に追い込まれたことが問題になった不祥事なのであって、当時の千代の富士の圧倒的強さを考えれば、別に優勝できないままでも横綱失格の烙印は押されなかったのですよ。

つまり横綱としての品格の問題であったのに、なぜか昇進基準の星勘定部分を厳正化することにすり替えて対策としてしまったわけでして、その結果、成績充分でも品格の伴わない横綱(誰とは言わない)が出現するようになって誰も手を付けられないという。

稀勢の横綱昇進問題とは別に、横綱に求める品格というものをしっかり定義し、それを評価できる判断基準をハッキリさせる等の対策は必要ですよ。

あ、いかんいかん、蛇足蛇足。A^^;




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