祝 黒田博樹カープ復帰

嬉しい。すごく嬉しい。
黒田博樹が、背番号15が、カープに帰ってくる。

昨日(12/27)の朝にこのニュースを知ったものの、私の生活圏に届く活字メディアは間に合わず半信半疑の状態が続き、カープ公式サイトでの発表を経てようやく実感するに至ったわけですが、夢みたいな話であります。

だってね、FA(フリーエージェント)となった黒田に対し、今季まで所属していたヤンキースが再契約を熱望、パドレスが年俸1800万ドル(約21億6000万円)、古巣のドジャースが年俸1600万ドル(約19億2000万円)を提示するなど、米メジャーのFA市場で黒田の争奪戦が繰り広げられていたのですよ。

パドレスならヤンキース以上の待遇になるよなぁ。ドジャースに戻ればロスの自宅に家族を残しての単身赴任状態が解消されるよなぁ。でも義理堅い黒田のことだから、ヤンキースが礼節を尽くして残留を説得したら傾くよなぁ…などと思いつつ眺めておりましたが、この状況でカープに戻ってきてくるなんてストーリーは水島新司先生の漫画の世界でもなければ描けますまい。

けど、それが現実に起きちゃった。

カープの提示は4億円。
親会社の後ろ盾がないカープにしては頑張ったけれども、スポーツの種別に関係なく、プロアスリートへの評価イコール年俸という常識から考えれば、21億円を蹴飛ばしてその5分の1以下の提示で契約を結ぶなんてことは異例中の異例。

これに対し、新聞各紙は「古巣愛」とか「広島愛」などと書き立ててますが、もちろんそれもありましょうが、それだけではないと思うのです。


それは黒田の座右の銘に表れてます。

黒田博樹の座右の銘は「耐雪梅花麗(雪に耐えて梅花麗し)」。
これは西郷隆盛が甥に贈った漢詩の一節なのですが、その漢詩全文がそのまんま黒田博樹の生き様であると言えるのです。


《全文》

示外甥政直 西郷南洲

一貫唯唯諾
従来鉄石肝
貧居生傑士
勲業顕多難
耐雪梅花麗
経霜楓葉丹
如能識天意
豈敢自謀安


《読み》

外甥(がいせい)政直(まさなお)に示す 西郷南洲(さいごうなんしゅう)

一貫(いっかん)す、唯唯(いい)の諾(だく)
従来(じゅうらい)、鉄石(てっせき)の肝(かん)
貧居(ひんきょ)、傑士(けっし)を生み
勲業(くんぎょう)多難(たなん)に顕(あら)わる
雪(ゆき)に耐えて梅花(ばいか)麗(うるわ)しく
霜(しも)を経て楓葉(ふうよう)丹(あか)し
如(も)し、能(よ)く、天意(てんい)を識(し)らば、
豈(あに)敢(あえ)て、自から安きを謀(はか)らむや


《意訳》私によるテキトー意訳であること、あらかじめお断りしておきます。A^^;

一度「よし」と言ったらその言動を貫かねばならない
いつでも鉄や石のように強い精神が大事である
貧しい生活から傑出した人物が生まれ
優れた業績は多くの困難を切り抜けた後に現れる
雪の冷たさに耐えて初めて梅は華麗に咲き
紅葉は霜を経てこそ赤く染まる
もし天意を悟ったのであれば
安楽な道を自らが選ぶようなことをするだろうか。


たしかドジャースで3シーズン過ごした後の復帰騒動(結果はドジャースとの単年再契約)の際の言葉だったと記憶しているのですが、
「今の僕があるのはカープのおかげ。いずれは帰り、恩返ししたい気持ちはある。日本に帰るならカープしかない。帰るなら、バリバリやっている時に帰りたい」
という4年以上も昔の言動を貫き、天意を悟っての今回の復帰劇なのだろうと思うのです。

しかし、言うは易く行うは難し。

ビジネスとして考えても、21億円ものオファーを蹴るのは黒田1人の問題では済みません。代理人、トレーナー、スポンサー、家族を含む各方面の関係者に理解と協力を求めねばならず、昨日今日の決断で実行できるものではないのです。

今にして考えれば、球団側と選手側の双方が求める複数年契約を結ばず単年契約に拘りを見せたり、家族をロスに置いてのNY単身赴任も、有言実行のための準備だったとしか思えません。ヤンキースが残留を熱望しつつもQO(クオリファイング・オファー)を申請しなかったのも、黒田の意向があらかじめ伝えられていたからなのでありましょう。

ちなみにQOは2012年に導入されたFA移籍に伴う旧所属球団への補償制度で、戦力として計算する選手に対して、その年の年俸上位125選手の平均年俸額(今年は1530万ドル=約17億4400万円)で引き留めを図り、その選手がQOを拒否して他球団と契約した場合に見返りとしてドラフト上位指名権を得るというものです。

黒田に対してパドレスやドジャースがオファーするであろうという情報は早い段階で確実視されてましたから、黒田が米メジャーの他球団に移る可能性があるならば、ヤンキースはQO申請していたことでしょう。それをしなかったということは、黒田側からヤンキース側へカープ復帰の意向が伝えられていたと考えるのが自然です。

そう考えるなら、ドジャースとの3年契約を終えた2010年のオフから4年越しの実現というわけでして、黒田博樹の生き様にうち震えずにいられません。21億円ものオファーを蹴ることもさることながら、40歳となるシーズンに一線級の力を維持できていること、そして有言実行という言葉さえも軽薄に感じるほどの鉄石の精神、そのどれもが奇跡と言えます。

これほどの男と同時代に生きることの幸せを、今、噛みしめてます。
2015年は黒田博樹とカープを熱烈に応援するとともに、彼の万分の1でもその精神力に近付けるよう努力する、そんな年にしたいものです。


Comments (2)

  1. kanimimi

      お恥ずかしながら野球は素人なのですが、

    【おかねじゃかえないものぷらいすれす】

    って事なのでしょう。
    勿論、お金が無いと生きていけませんが、
    お金だけでは生きていけないという事を体現されたと思います。
    陳腐な言葉で言えば【男前】な選手ですね。
    広島カープファンの方々の嬉しさが伝わってくると同時に、
    日本野球も捨てたもんじゃないって感じに、
    私は興味ないケド(オイッ〈微笑〉)
    日本プロ野球界の来期からの盛り上がりを期待したいと思います。

    Reply
  2. 甚之介 (Post author)

    kanimimiさん、今年もよろしくお願い申し上げます。
    遅レスで申し訳ありません。飲んだくれてましたw

    彼を【男前】と言わずに誰を【男前】と言うのか。
    彼を【漢(おとこ)】と呼ばずに誰を【漢(おとこ)】と呼ぶのか。

    そんな黒田が帰ってくるのですから期待するなって方が無理であります。
    彼の姿勢を少しでも見倣うことで、今年を充実したものにしたいと思っております。

    Reply

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