集団的自衛権行使容認賛成論

「集団的自衛権」というキーワードで語られる諸問題については色々と不満があります。

まずですね、集団的自衛権行使の容認そのものの賛否と、憲法解釈の変更あるいは閣議決定という手段の賛否が、ごちゃ混ぜに語られていることの不毛さが堪らない。

私は集団的自衛権行使の容認には賛成なので、その導入手段はさておきまして、私の認識に基いての集団的自衛権行使容認賛成論を書いてみますので、もし私の認識に誤りがあるのであれば、ご指摘を頂戴したいと思います。


さて、私が集団的自衛権行使を容認することに賛成する理由ですが、家族や郷土が戦禍に巻き込まれたくないからですよ。

不思議なことに、集団的自衛権を不要と主張する方々も同じ理由だそうですね。
願うところは同じなのにその方法論が正反対というのは、どちらかの事実認識が誤っているのでしょう。

まずは大前提ですが、19世紀の第一次世界大戦から21世紀の現在に至るまで、地球上のどこかが必ず戦争状態にあるということ。これが大前提です。

日本は地理的条件や歴史的経緯、もちろん平和を希求する様々な外交努力、そして軍事的パワーバランスにより、1945年を最後に69年間もの長期に渡り戦禍に巻き込まれておりませんが、そんな日本でさえも、戦禍に巻き込まれる可能性は常にあるのです。


現在進行形のウクライナが強烈な示唆を与えてます。

ウクライナでは、ロシア系住民を中心とする親ロシア派のロシア帰属あるいは自治権拡大を応援する目的で、ロシアが国境付近に軍を配置、国籍不明の部隊が暗躍し、国内がメチャクチャなことになってますよね。

しかし、それと同じことが日本に起きない。

例えば、ロシアが北方領土に軍を配置すると同時に、北海道で国籍不明の部隊が暗躍している中、北海道の自治権を要求する勢力が活動を活発化……みたいなことは起きない。

それは、日米安保条約を介してアメリカと同盟を組んでいることで、ロシアに対する軍事的パワーバランスが保たれていることが最大要因です。

いいや、そうではなく、民間外交も含めた平和的外交努力によるものだとする論もありますが、ではウクライナの現状が平和的外交努力の不足によるものかといえば、絶対にそんなわけがありません。

ウクライナはロシアと地続きで国境を接している上にモスクワとも近いのですから、その平和的外交努力もロシアと海を隔てている日本と比べるべくもなく図られていたはずです。親ロシア派に対する自治権承認や(外交カード化してしまってますが)ロシアからの天然ガスパイプライン供給などがその証左と言えます。

にも関わらずロシアの侵攻を受けたことの最大要因は日本との相違点。つまりは軍事的パワーバランスを欠いていたということです。

ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟したかったのですけれども、国内の親ロシア派の反発とロシアの恫喝により果たせませんでした。

もしウクライナがNATO加盟を果たしていたら、NATO入りしている旧ソ連の東欧諸国と同様、ロシアからの侵攻はもちろんのこと、軍事的圧力すら無効化できていたことでしょう。

ロシアへの従属とNATO加盟のどちらがウクライナ国民にとって幸せなのかは分かりませんけれども、戦闘状態に陥ってしまったことは不幸そのものであり、その要因が軍事的パワーバランスの欠如にあることは確信できるのです。


さて日本の現状ですが、日米安保条約体制下の現在も集団的自衛権を行使している状態と言えます。ただ、アメリカが一方的に庇護する関係なのでかなり変則的ですけれども、日本が単独で自国を防衛しているのではなく、主に抑止力としての部分にアメリカを頼っていることは自覚すべきだと思います。

そのアメリカが軍事面で緩やかに退潮傾向にあることと、中露両国、とくに中国の軍事力拡大傾向に伴い、パワーバランスが崩れつつあります。現状維持によるアメリカ一国に頼っての自国防衛は、今後難しくなるものと考えるべきでしょう。

かといって、日本単独で隣国の大国である中露両国と対峙できるほどの軍事力を構築するというのはあまりにも現実離れした考えです。

で、あるならば、アメリカを含むより多くの民主主義国家群との間にNATOのような多国間軍事同盟を結ぶしか方法はありません。可能であるならば日本がNATOに加盟してしまえば話は早いとさえ思ってます。

ゆえに、集団的自衛権行使容認に私は大賛成。
ここまでいかがなものでしょうか?


集団的自衛権に否定的な意見の理由として、軍拡に向かう、果ては徴兵制に向かうとの話も聞き及びますが、それは真逆でしょう。

NATOが好例ですけれども、多国間軍事同盟加盟国の合計兵力が仮想敵国とのパワーバランスを保てれば良いので、米英仏が基軸ということもありますが、加盟国が多ければ多いほど各国が担うべき兵力は少なく済みます。

つまり、多国間軍事同盟を進めれば進めるほど地球規模での軍縮に向かうのです。
日米間の軍事同盟でしかないがゆえの自衛隊による現有戦力を更に減らすことが可能になるのが集団的自衛権行使容認であるとさえ言えますし、多国間軍事同盟が地球上を覆ったときに初めて戦火が消えるのかもしれないとも思うのです。

さらには徴兵制ですが、上記のとおり軍縮方向へ向かうのに徴兵制は考えにくいものがありますし、多国間軍事同盟を前提とするならば英語等の外国語の語学力が必須である上、加盟国間で標準化した兵器や機材の操作を体得する必要があるため、わずか数年間に限定された兵役の中で体得させることの無理は大きなものがあります。

徴兵制の必要性は、低下することはあっても高まることはないでしょう。


以上、長文かつまとまりを欠いてますが、私の認識に基いての集団的自衛権行使容認賛成論でした。




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