次男との稽古から考えたこと

今、高校入学を控えた次男坊との稽古が楽しくて仕方ないです。
火曜日の稽古も居残りの稽古時間の全てを彼との稽古に費やしてしまいました。

本来の指導対象である小学生を放置して息子との本気稽古に汗するってのはいかがなものか?とも思ったのですが、高校の剣道部に入部すれば親子で稽古する時間もそうそう取れなくなるので、ひとつご勘弁を願いたいところです。A^^;

アスリートでもないフツーの会社員が、身体能力キレキレの高校生と本気で対戦できる格闘技というのは、私の乏しい知見の限りでは剣道くらいなものではないか?と思います。

気難しい思春期真っ只中の息子と魂と魂のぶつけ合いができることの幸せを感じ、剣道を続けていてよかったと心より思えた火曜日でした。


次男坊の稽古を振り返りつつ思うことですが、年を追うごとに剣技の平均レベルは向上するばかりですね。

私が小学生の頃=1970年代は、踏み込み足を利かした鋭いメンが打てたらある程度は勝てましたけれども、現代は小学生の稽古メニューに応じ技が入るのは当たり前のことで、昭和の昔と比べると勝つために求められるレベルが格段に高くなってます。

ドラえもんにお願いし、高校入学直前の私を現代に連れてきて次男坊と試合させたならば、おそらく30年前の私は手も足も出せずにコテンパンにやられてしまうでしょう。

が、しかし、30年前と比べて格段に体力の落ちた私が次男坊と本気稽古できるということは、私の剣技も30年という長い年月の中で緩やかながら向上していたということで、やっぱり剣道は続けたもん勝ちだよなーと思うと同時に、剣道の奥深さを感じさせられるのでした。


でも、その一方で不安も感じます。

小学生時分の私は運動神経が悪く、今もそうですが斜頚で姿勢がよろしくなく、さらには早生まれで体が小さかった上に泣き虫という有様でしたから、同級生が十数人いた剣友会の中で選手として対外試合に出場したことはなく、年2回の部内試合でもいつも1~2回戦で敗退してました。

# ちなみに私は東京生まれの千葉育ち
# 中2の1学期まで千葉市花見川区で過ごしました。
# 茨城八千代には中2の夏休みに越してきて、32年後の現代に至ります。

そんな私が剣道を続けられて、なおかつ剣道が大好きになれたのは、剣友会がまず基本、とにかく基本、ひたすら基本の稽古の連続だったことと、対外試合で負け続けるトラウマを抱えずに済んだこと、この2点が大きかったように思えます。

そんな小学生時分の私を、またドラえもんにお願いして現代に連れてきまして八千代剣道教室に入会させたならば、さて私は剣道にのめり込むほど夢中になれるか?と考えますと、正直な話、難しいように思えてなりません。

まず、基本だけ一所懸命に稽古させる環境にはありません。
それでも八千代剣道教室は基本を重視していると自負しておりますが、稽古時間の9割が基本に費やされていた当時とは比べものになりませんので。

また、小学生の人数が少なく、技量に関係なく対外試合に出さざる得ない状況で、負け続けることでトラウマを抱える心配もあります。

そうなりますと、私のようにベースとなる力を得るまで時間のかかる晩稲(おくて)タイプの子は、剣道を好きになる前にくじけてしまう可能性が高いです。

高校入学と同時に竹刀を置いた長男は晩稲タイプの典型でした。
彼が小1から9年間剣道をしてきたことで得たものは小さなものではなく、彼もそれを自覚している様子ではあるのですけれども、やはり高校より上で剣道を継続してこそ一生ものの財産になりますので、そこまで導けなかったことに指導者として責任を感じますし、親としては惜しいな~とも思うのですよ。

そういえば、全日本選手権で優勝すること6度の最多記録をもつ宮崎正裕先生も、中学生時に初段を4度連続不合格、5度目で合格という晩稲でした。
晩稲が大きく育つことのできた昭和の稽古環境は実に豊潤でしたね。


立ち戻って平成=現代の少年剣道ですが、私も晩稲タイプであったがゆえに思うことかもしれませんけれど、少子化で未成年の剣道人口が減っている現在だからこそ、晩稲も晩稲に適した進行速度の指導で計画的にきっちり育成していかなければならないと思います。

また、早熟な早稲(わせ)をその勢いのまま高く延ばそうとする前に、ちょっとやそっとの嵐では倒れないような根本となる基本の部分を、その重要性を理解させつつしっかりと育てなければなりません。

つまるところ、昭和の昔から続く集団指導100%の稽古状況を見直し、少子化の今だからこそ可能なマンツーマンの個別指導を、希望による居残りなどではなく年間計画として取り入れるべき時期がすぐ近くまで来ているように思えるのです。

さーて、限られた時間の中でそれをどう実現しましょ?
というようなことを考えることが多い今日この頃なのでした。




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Comments (2)

  1. kanimimi

     うーん
    私も 8~18歳 で柔道を卒業してしまったので
    偉そうには言えないのですが…

     男の子には体を使った
    尚且つ 勝敗のあるモノをすべきだとは持っております
    其の中で 《道》 の付くものを
    チョイスされた事は
    親御さんである 甚之介さんの功績だと思います
    また 大人になられて 戻ってくるかも…ですし
    未来お孫さんが って事もです

     刈ったと思った畑に
    実は落ちていた籾が発芽して
    若葉が生えているかもしれませんよ?

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      やー、kanimimiさん、良いこと言ってくださる。実に励まされます。

      功績はさておき、まずは親であり剣の師である私から離れて剣の道を進まんとする次男坊を楽しみに見守ります。

      Reply

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