【千葉仁先生追悼】2007全日本東西対抗剣道大会 観戦記

千葉仁先生(警視庁剣道名誉師範、剣道範士八段)の訃報が届きました。享年72歳。
ご冥福をお祈りするとともに、追悼の意を込め、旧ブログの過去記事を再掲いたします。

過去記事再掲の前に、背景を説明しなければなりません。
再掲する過去記事は2007年9月16日、水戸の茨城県武道館で開催された全日本東西対抗剣道大会の観戦記になりますが、この大会の東軍大将として千葉先生が出場されてます。

実はこの大会の直前(同年9月7~9日)、私は2泊3日で行われた剣道社会体育指導員養成講習会(初級)を受講したのですが、千葉先生は同講習会の講師の一員だったのです。
千葉先生には主に日本剣道形、実習指導法、審判法実技のご指導を賜りました。地稽古の際に拝見した千葉先生の上段は今も脳裏に焼き付いてます。

そして、講習会の最後の夜に催された懇親会は、翌週の東西対抗戦で東軍大将を務める千葉先生への激励の万歳三唱(千葉先生による正しい万歳の形の指導付きw)で締めたのでした。

とまぁ、そんな背景がありましての地元茨城開催の東西対抗剣道大会観戦だったのでした。では、2007年9月17日の過去記事を再掲しましょう。


昨日は水戸の茨城県武道館で行われた全日本東西対抗剣道大会を観戦してきました。

2007東西対抗大将戦

2007東西対抗大将戦

写真は大将戦。
上段が東軍大将の千葉仁範士、対するは西軍対象の角正武範士。

試合結果および表彰につきましては全剣連の旧サイトをご参照ください。

正直に言いますと、下妻地区剣連に20枚の指定席販売が割り当てられたので、半分”しかたなく”の観戦。

なにせ前日は小学校の運動会。
雨天順延にでもなったら購入した指定席が無駄になってしまいますし、運動会が行われたら行われたで疲れてる状況になりますからね。

加えて、私の認識では、東西対抗戦は選手として選ばれることが名誉であるだけの花試合と思ってましたから。

しかししかし、私の認識は大間違いであることが分かりました。

とにかく面白いし、35対35の団体戦の中で、選手はそれぞれのポジションで自身が所属する軍の勝利に貢献すべく全力を尽くしているのでした。

東西対抗戦は、六段戦が先鋒戦・三十四将戦・三十三将戦の3試合。
三十二将戦~十八将戦までの15試合が七段戦。
十六将戦~三将戦までの15試合が教士八段戦。
最後に、副将戦と大将戦の2試合が範士戦 という構成になります。

東西の分け方ですが、東軍が福井県・愛知県・岐阜県・三重県より以東、西軍が滋賀県・京都府・奈良県・和歌山県より以西となってます。

ちょっと違和感がありますけど、おそらくは都道府県の数などの理由があるのだと推察してます。

審判員は全員が範士。まぁ、文句は言えますまい(笑)

試合は3本勝負で、試合時間はなんと10分。
試合時間内に勝負が決しない場合は時間無制限の延長戦に突入します。

ここらへんが東西対抗戦の個性になりますね。

やはり、多士済々の高段者同士による試合が35も続きますと、すんごい試合が見られます。

色々意見はあるかと思いますが、私には西軍十四将を務めた大阪の神崎浩八段の試合が印象的でした。対するは静岡の安永勝也八段。

神崎先生のツキがこれまた強烈なんですよ。
一度は安永先生が3mくらい後に飛んだくらい、とんでもなく強烈な突き。

この場面では安永先生が下から竹刀を当ててしのぎつつ自ら後ろに飛んだことでかろじて1本にはなりませんでしたけど、2階席からの遠目からでも感じることのできるツキ技の威圧感は凄まじいものがありました。

それでも神崎先生の強烈なツキを安永先生は見事に裁いてましたが、そのツキを警戒して手元が浮いたところをコテ、同じくツキからのコテを警戒して剣先が居着いたところをメンと神崎先生が2本連取して試合を決めたのでした。

会場の何ともいえない”どよめき”が観客の高評価を表してましたが、やはり、神崎先生は優秀選手賞を表彰されました。

団体戦としても面白かったですよぉ。

七段戦が終わった時点で東軍12勝、対する西軍は6勝と、東軍がダブルスコアの圧倒。

しかし八段戦に入って、あれよあれよのうちに西軍が追いつき始め、四勝戦の西軍勝利でついに16-16のイーブンにまでなり、三将戦で我らが茨城の水田先生が惜敗して逆転されてしまいます。

ここで東軍が負けたら西軍の逆転優勝となる副将戦。
千葉の忍足範士と大阪の小川範士の試合は文字通り熱闘となりました。

1本目は忍足範士のメン。
2本目は小川範士のメン。
そのまま延長戦に入り、忍足範士がコテを決めて勝利を収めます。
このへんは私が実況するより剣道日本/剣道時代を待った方が良いでしょう。

とにもかくにも、35対35の団体戦の勝敗の行方が大将戦にまでもつれこみました。
長い東西対抗戦の歴史でも稀に見ることではないでしょうか?

大将戦は東京の千葉範士と福岡の角範士の試合。

勝浦での体育指導員講習会にて稽古を頂いた千葉範士の試合ですから、自然と力が入りましたけれども、すごい試合でした。

まず1本目は上段に構える千葉範士の左小手に角範士のコテが炸裂!
これぞ上段に対する左ゴテ といわんばかりの見事なコテでした。

しかし、ここから千葉範士が不動明王のごとき迫力の攻めを展開します。

失礼ながら御年63とは信じがたい無反動の片手メン、片手コテの速射。
1本1本が正確無比かつ強烈で、技が放たれる度に会場がどよめきます。

ほどなくして、角範士の出端を千葉範士の片手メンが襲って1本を取り返し、勝負の掛かった3本目は千葉範士の諸手コテが炸裂!

勝負が着いた後も、しばらく拍手の鳴り止みません。

副将戦・大将戦で再逆転しての東軍勝利という展開もありましたし、千葉範士の神業ともいえる技の冴えを見ての興奮もありました。

もう、これだけで充分、儲けたなぁv^^ って感じですかね。
とにかく良いものを見せていただきました。

ホント、今年は剣道に関しては随分とついてます。A^^;


再掲おわり。

この千葉範士と角範士の試合は過去記事では表現できないくらいの至高の一戦だったので、どこかに動画が上がっていないものかと探しましたが見つかりませんでした。

つたないお粗末な散文で申し訳ない気持ちですが、千葉先生の剣道の片鱗をお伝えできたならば、先生の追悼になるかと。

あらためまして、千葉先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。合掌。


2018/1/27追記

千葉範士と角範士の試合がニコニコ動画にアップされている旨、情報提供を頂きましたので掲載しておきます。kendoさん、情報提供ありがとうございます。m(_ _)m




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Comments (2)

  1. kendo

    数年前の記事に今更ながら。ニコニコ動画に件の試合の動画がございます。会員登録が必要ですが、「千葉仁」のタグで検索すれば出ます。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      kendoさん、情報提供ありがとうございます。
      ニコ動のプレイヤーを埋め込んでみました。この試合の凄さが多くの皆様に伝わってくれますことを願ってます。
       
      また、遅レスとなってしまい、申し訳ありませんでした。m(_ _)m

      Reply

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