IOCと剣道

これも旧ブログ記事の焼き直しになりますが、オリンピックイヤーですし、東京オリンピック関連の話も色々と出ている現在ですので、ちょいと投下してみようかと。


オリンピック周辺が色々と騒がしくなってきたので、IOCと剣道の関係性について述べてみたいと思います。

剣道はスポーツではない
人間形成の道であり、武道である

といった論旨は、「武道」は元より「道」という概念の無い海外では通じません。

海外で剣道を嗜む方々が
「なるほど、これが武道か。通常のスポーツとは趣が異なる。」
と悟られることはあるでしょうが、その活動(=稽古や大会での会場使用)の許認可権を持つ各国の行政は、一つの例外も無く剣道を日本発祥の「スポーツ」として取り扱っています。

では、海外において、スポーツとして取り扱われないとどうなるか?

剣道は「日本という外国の文化」という扱いになることで、行政が会場使用等の便宜を供与する理由を失ってしまい、定期的な稽古会を開催したり、大会を開催したりすることが難しくなります。

では、
「剣道はスポーツです」
と宣言すれば行政サービスを受けられるのかと言うと、そんな甘いものではありませんで、国際的に認められたスポーツであることが大前提となります。

どのようにそれを証明するか?

まず、そのスポーツ競技を統括する国際競技連盟(IF)が存在し、そのIFがSportAccordに加盟していることをもって証明となり、国際的に認められたスポーツとして行政サービスを受けられるのです。

ではSportAccord(スポーツアコード)とは何か?

SportAccordはIOCに承認されているスポーツ団体で、各スポーツの国際競鼓連盟や、側面からスポーツに貢献している国際組織などが、世界のスポーツ保護、情報共有、協力協調を目的に加盟している連絡協議会です。
2012年現在で106団体が加盟。

ほ-ら、出てきましたよIOC。

ちなみに、SportAccordに加盟した後、ARISF(IOC承認国際競技団体連合=34団体)への加盟を経ないと、ASOIF(オリンピック夏季大会競技団体連合=26団体)やAIOWF(オリンピック冬季大会競技団体連合=7面体)に入れません。

剣道はたった10数年前(2003年)にSportAccord加盟を果たしたばかり。ましてや一度SportAccordへの加盟申請を却下されております。
「剣道はオリンピック競技となるべきか否か?」
などという議論をする段階には全くありません。

しかし、SportAccordもIOCの意向や姿勢に準拠しておりますから、とある件をきっかけにIOCのスポーツ定義が厳格化したり、またある件でIOCのスポーツに対する価値観が露呈したりしますと、その影響は日本で考えられているより直接的に降りかかるはずです。

剣道はスポーツではない
人間形成の道であり、武道である
だからIOCなんか剣道と何ら関係ない

といった論旨は通用しないのです。


いいじやないか、剣道は日本だけでやっていればいいんだ。
といった極論も実のところよく耳にします。

しかし、国際的に圧倒する競技力を維持できなくなってからの柔道さんの苦労を見ますと、世界剣道選手権大会に50ヶ国以上も集うようになった現在、そして今後、日本だけ我が道を行くなどということはあまりにも至難の業のように思えます。

また、韓国のコムド系の団体が日本の文化性を排除してのスポーツ競技化を虎視眈々と狙ってますので、それにIFを乗っ取られてしまうと、日本の剣道が「剣道」を名乗れなくなってしまう悪夢さえも現実性を帯びます。
(その防御のためのSportAccord加盟であったりもします)

まだ競技力と発言力で宗主国としての面目が保たれているうちに、国際的に通用する剣道の理を通すことのほうが現実的でしょう。

すなわち、剣道にもスポーツ的側面が少なからずあることを認め、ただし、それを包括する「人間形成の道」という主旨と目的をしっかり確立することが求められる ということかと。

その意味では、
今の「剣道の理念」や「剣道修錬の心構え」等は国際社会で理解を得られるのか?
という疑問がフツフツと湧いてくる今日この頃なのでした。

やはり日本の剣道においてもIOCの影響は降りかかるのです。
良くも悪くも否応なしに。




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