白鵬ベビーフェイス論

ちょいと相撲ネタが続き過ぎてますけど、夏場所もあと2日、奇数月限定発症の持病ということで、本来のホームグランドである剣道部の皆様にはご勘弁を願いたく。A^^;

十二日目の白鵬-稀勢の里戦についてあんなことを書いたものですから、あの取組についての記事をネット上でザーっと拾い読みしていたのですが、どうにもこうにも腑に落ちないのですよね。

判で押したように白鵬↑↑、そして稀勢の里↓↓。

過失割合が、例えば3:7とか、贔屓目に見ても2:8はあっても、あの立合不成立が0:10で稀勢の過失だなんてことがあるもんか。

私の採点では過失割合は7:3で白鵬の方が大きい。
私は稀勢への贔屓目があろうからそれを割り引いても5:5ですよ。

それよりなにより、白鵬の右かち上げと左張りを記者諸君は褒めるのですね。

相撲を覚えたての大砂嵐金太郎じゃあるまいし、四つ相撲の第一人者たる横綱がかち上げと張りで攪乱する理はなく、悪童扱いだった朝青龍は随分と張り差しを咎められたというのに、白鵬がそれにかち上げを加えても「厳しい相撲」なんですからね。
これってダブスタじゃねーですか?

なーんて思ってたら、ふと、その仕組みを理解しました。


朝青龍はスーパーヒールだったじゃないですか。
それに対抗する形で横綱に昇進した白鵬は横綱に並び立った瞬間から絶対的ベビーフェイスに位置づけられたのですよ。

で、その日から現在に至るまでずーっと白鵬はベビーフェイス。だから相撲記者クラブ加盟社の記者を含む大相撲関係者は誰も白鵬を批判しない。

張り差しをすれば、朝青龍評は「行儀が悪い」、白鵬評は「厳しい相撲」。土俵際の攻防から突き出せば、朝青龍評は「ダメ押し」、白鵬評は「厳し(ry」。対戦力士を凝視すれば、朝青龍評は「睨みつけた」、白鵬評は「気合が入ってる」。

あー、思い出せば思い出すほどダブスタ評がザクザク出てきますな。
その延長線上に現在を置けば、あー、なるほど、白鵬万歳な記事も理解できます。

当時私はアンチ朝青龍でしたから気付かなかったけれども、あれは朝青龍ファンには相当悔しかったことでしょうね。


プロレスが日陰に追いやられて「ヒール」だの「ベビーフェイス」といった言葉が変に伝わると思うので少し解説。

ベビーフェイスとは善玉役のことで善そのものではありません。
同じく、ヒールとは悪玉役のことで悪そのものではありません。

ヒールはベビーフェイスの引き立て役です。

例えば、ヒールが凶器攻撃を仕掛けます。もちろん大ブーイングを浴びます。
ところがベビーフェイスが凶器を奪って反撃に転じ、ヒールにやられた以上に血みどろになるまで攻撃しても、大喝采を浴びます。凶器攻撃という反則行為をした点では同じなのに、そういう役回りなのです。

これがそのまま白鵬-稀勢の里に当てはまりますよね。
立合を合わせないという点では同罪なのに白鵬は「勝負に厳しい」と称賛され、稀勢の里は「合わせようとしない」と批判されてしまいます。

また、今場所は序盤で日馬富士に対するダメ押し批判がありましたけど、中盤で明確にダメ押しした白鵬に対しては「厳しい相撲」との評価。

これ、白鵬が絶対的ベビーフェイス、すなわち対戦者は自動的にヒールとなるベビーフェイスと考えれば、記者諸氏の白鵬評も合点がいくというものです。


稀勢がこの状況を打破するには、朝青龍と同じくスーパーヒールになるのが手っ取り早いと私は思います。

あ、ここでも誤解されそうだな。A^^;
スーパーヒールというのはメチャクチャ悪い奴という意味ではなくて、ヒールを超えたヒールのことですよ。

ヒールがベビーフェイスをも凌駕する貫禄と実力をもって観客に畏怖を与えると同時に尊敬を集め、少々ラフなことをやっても「スーパーヒールだから仕方ない」と思わせる雰囲気を身にまとったレスラーをスーパーヒールと呼びます。

朝青龍が超ワルで、稀勢にそれを目指せと言ってるわけではないのですよ。
そもそも朝青龍はやんちゃだとは思うけれどもワルとは思わない。

うー、朝青龍というよりは、北の湖ですな。
最年少横綱にして土俵上の態度や表情が実にふてぶてしかったと聞きます。

相手力士を土俵下に叩き落としても手も貸さず、ブスっとした表情で懸賞金を受け取る姿、そして抜きんでた実力を兼ね備える北の湖は正しくスーパーヒール。

てなことを昨日の昼休みに140字で書きましたら「北の湖は人格者だ」みたいなことを書かれてしまいましたが、それが勝負に弱さとして出ることを嫌ったゆえのあの土俵態度であったことは私も存じております。

つまり、稀勢はお人好しな性格が勝負の邪魔をしているわけですから、それを出さないように土俵上ではスーパーヒールの仮面をかぶり、北の湖と同様に仏頂面したまま白鵬に対峙すればよろしいのですよ。


今回だって白鵬は片手は降ろしているのだから、立とうとして立てないわけではないし、合わせることも十分に可能。

それを立たないのは五分の立合では稀勢に勝つ自信が無いからであり、ならば稀勢は立合を変えることなく何度でも仕切り直せばよろしい。白鵬の贔屓から罵声を浴びても仏頂面のままでね。

それくらいのふてぶてしさがなければ優勝できないよ というわけで、稀勢の里のスーパーヒール化を願ってます。

記者諸氏の白鵬ageの理由も理解したので、今後は私の苛立ちも減るでしょう。




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Comments (2)

  1. 鈴木淳子

    おはようございます。

    なるほど~と思いました。
    白鵬が黒鵬なのに白い子ちゃんキャラを皆が言うから腹立ってたけど、もうこれは動かないですねえ。別に今更黒い子でアナウンスされてもびっくりするけど。
    (でも親方衆は記者諸君とは別で、駄目なもんはダメと言わんとあかんと思いまする)

    同時に世間できっせーが立ち合いがまずいとか叩かれても、ここは私も仏頂面で記者諸君やテレビ関係者を冷淡に見下ろしてやればいいんだと思いました。これは大事かも。。。

    ところで稀勢の里はもともと北の湖にとても似ていると思います。
    違うのは足の長さだな~と。。。(であるからして、北の湖の何倍も四股を踏まないと重心の高さをカバーできないから大変だわ~とか思ってます)
    土俵上の態度も表情も結構近いと思います。でもまだまだ「いい奴キャラ」が見え隠れしてますものね。(世間的には充分仏頂面らしいけど)

    めざせ北の湖ってことで、残り二日、楽しみに応援致します。どすこい☆

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      こんにちは。
      Twitterでも書きましたとおり、貴記事にコメント書いてましたらエライ文字数になりまして、ブログ記事にしてしまった次第です。

      親方衆の白鵬ageは、相撲界のヒエラルキーを考えますと、横綱経験者の名伯楽が出現しない限り止まらないかなぁと思ってます。
      初代若乃花の二子山は自身が名横綱にして2代目若乃花、隆の里の師匠という無双状態ゆえに部屋も一門も跨いで鬼の指導ができましたけど、今はそういう人がいませんので……

      …と思ったらいました。伊勢ヶ濱親方。元旭富士で日馬富士の師匠にして審判部長。

      うーん、どうかなー。Twitter相撲部では組長の愛称で愛されてますけど・・・。淡い期待を持っておこうかと。A^^;
      残り2日間、夏場所を楽しみましょう。

      Reply

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