白鵬、稀勢の里、相撲協会への憤り

白鵬と稀勢の里に問いたい。

白鵬の考える横綱の責務とは?
稀勢の里の考える大関の責務とは?

勝つことが第一と考えているのではないか?
いや、昨日十二日目結び前の一番を振り返ればそう考えるしかないのですが、そうであるなら実に愚かなことであります。

たしかに横綱と大関、とくに横綱には常勝であることが求められます。
しかし、ただ勝てばいいというのは平幕まで。せいぜい関脇までの話。

なぜ横綱あるいは大関という格を与えられて、なぜ大関は二場所連続で負け越さない限りその地位に留まることを許され、なぜ横綱は神への力の奉納という神事(=土俵入り)を任されているのかを考えれば分かりそうなものですが、まずは正々堂々たる相撲道の体現者となることが求められているのであり、興行的には銭の取れる武芸を披露することが求められているわけですから、ただ勝つだけではなく、勝ち様(かちざま)が問われます。負けるにしても、負け様(まけざま)が問われます。

振り返って、昨日十二日目結び前の一番、白鵬の勝ち様、稀勢の里の負け様はどうだったかと言わせてもらえるなら、無様(ぶざま)の一言であります。

こんな相撲が、木曜日という平日ど真ん中の国技館を埋め尽くした観客に対する返事なのかと思うと、両雄への憤りを隠すことは出来ません。


立合、稀勢の里は白鵬の速攻を警戒してタタっと立ったのでしょうが、それが杞憂に終わったのだから、2回目と3回目の立合は白鵬が先に拳を降ろすのを待つくらいの工夫があって然るべきでした。

では、稀勢の里が一方的に責められるべきかと言えばそうではありません。

白鵬には立合を合わせようとする気配が全く感じられませんでしたし、成立した3回目の立合は稀勢の里が右拳、次いで左拳を置くも呼吸が合わずに戻した、そこを好機と見て立った上に顔面を狙っての右かち上げ、さらには左張り手を見舞うという、正々堂々とは真逆の振る舞いをした点で、私は白鵬に対する落胆の方が大きなものを感じましたね。


や、ここで白鵬が悪い、いや、稀勢の里がマヌケなのだと言い合いをしたところで始まりません。この両雄の取組における立合の乱れは今に始まったことではないのですから。

相撲道および相撲興行の元締めたる日本相撲協会は何をやってるんだ!
つまるところはここですよ。

白鵬-稀勢の里という取組が黄金カードであることは衆目一致するところ。
なのに、名勝負とならずに今回のように台無しになることの方が多いという現状は、興行的にも相撲道の振興を図る上でも大いなるマイナスであるはず。しかし、日本相撲協会はこれまでのところあまりにも無策。

初代若乃花の二子山が理事長だった時代に敢行した立合の正常化が、今こそ必要です。

なぜ、相撲が勝負の始まりを審判や行司といった第三者に任せず、対戦する両力士の合意に委ねているのかを考えて頂きたい。このままでは大相撲が滅びます。

今、もっとも危惧しているのは、白鵬と稀勢の里が千秋楽で相星となって優勝決定戦となり、そこでまた同じ愚行を繰り返すこと。そうならないことを祈る思いで、夏場所の残り3日間を観戦します。




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Comments (4)

  1. つかまん

    甚之助さんが杞憂する結果となってしまいました。どちらが良い悪いではなくあれでは相撲でなく立会という別の競技となってしまい、相撲の面白さが削がれてしまうと思いました。阿吽の呼吸で立会して貰いたいですね。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      はい、本当に。当ブログでもTwitterでも杞憂を漏らしていたことでした。
      立合が勝敗を決める重要な要素ということは、立合が相撲の魅力の重要な要素なのだということを自覚し、是正して頂きたいものです。

      Reply
  2. マスオさん

    おはようございます、甚之介アニキ。
    あの相撲、高い木戸銭払って国技館で見せられた組としては、何ともおさまりがつかなかったものです。
    白鵬のずる賢いところは、自分から力相撲を取る気がなくて、相手に立ち合い不十分を印象づけさせてるところですな。フシ穴のマスコミはこぞって、稀勢の里の不十分、白鵬の完勝などと書いてますところも腹立たしいところです。
    甚之介さんがおっしゃるように、あの立ち合いを大相撲全体で直さないかぎり、せっかく平日満員御礼が出ても、また元の木阿弥になってしまうこと必至です。八百長問題で大相撲協会も少しは懲りてるはず、ここは私たち「お客さま」が声を上げることも必要かと思います。
    正直、私も賜杯はもうどうでもよろしい。まともな相撲を見たいところです。

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      マスオさん、おはようございます♪
      現地組、ご愁傷様でございます。

      マスコミの件に関しましては淳子さん(@junvjun)のブログ記事にコメントとして用意してましたら膨らんでしまいまして、本日の記事となってしまいました。まー、そういう仕組みなのだと思うことにしました。

      本日結びの一番、日馬富士vs稀勢の里で真の横綱大関戦を観られたならば、折れた心も少しは回復できるかなーと。

      Reply

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