篭れ!稀勢の里!

秋場所について書くのはこれで最後。低迷の続く稀勢の里に思うことを述べておきたいと思います。

珍しく場所中にテーピングを施す姿を見せてましたから、十分な状態ではなかったであろうことは窺い知れます。すぐ腰が立ってしまうのも、その影響があったのかもしれません。

《注記》
”腰が立つ”と”腰高”はほぼ同意義なのですが、稀勢については腰が立っていないのに”腰高”と解説される場合が多いので、”腰高”という言葉を使いたくないのですよ。

が、しかし、それを割り引いて考えても、相撲内容があまりにもよろしくない今場所でした。

立合に迷いがあり、立てる呼吸なのに立たないのを何度か見ましたし、攻めるべき時に呼吸を入れて組手を悪くしたかと思えば、一呼吸入れて慎重を期すべき時に無理攻めしての逆転負けもありました。

立合を含む取口、さらには相撲の理に一貫性が無いのです。不安定きわまりない今場所でした。


素人考えとは思いますが、私は故・鳴戸親方の方針に立ち戻るべきではないかと思ってます。すなわち出稽古を原則的に禁止とする方針です。

思い返しますと、多方面から批判と揶揄に晒され続けてきた出稽古禁止の方針下で、稀勢は大関まで昇進しましたし、高安も隆の山も関取になりました。もちろん若の里ら旧・鳴戸部屋から輩出された多くの叩き上げ力士も同じであります。

しかし、鳴戸親方亡き後、出稽古を解禁したことにより得たものは?と考えますと、すぐにも横綱になるのではないかと思われた稀勢はクンロク大関の名に甘んじてますし、隆の山は幕下まで陥落して引退し、高安は三役と幕内下位を忙しくエレベーターしているばかり。

旧・鳴戸部屋を継いだ田子ノ浦も、故・鳴戸の下で長く部屋付きでおりましたから、出稽古禁止以外の指導方針がガラリと変わることも考えづらく、となりますと、やっぱり出稽古禁止ってのは一理あったんじゃないの?と思ってしまいます。

や、前の記事でも書きましたが、高安はもしかしたら化けるかもしれません。四つ相撲という旧・鳴戸=田子ノ浦には無かった色が付きつつあります。若いから吸収が早いのでしょうし、なにより器用さがあります。ノイジーなまでに耳に入る「ああした方が良い」「こうした方が良い」もきっちり取捨選択できているのでしょう。

が、稀勢はと言いますと、絵に描いたように不器用な力士です。
耳に入る多方面からの意見などほとんどは馬耳東風に過せばよいのに、それが出来ずに耳を傾けてしまい、悩みと迷いを深めているのではないか?と思えてならないのです。

出稽古にはメリットもありますが、デメリットもあるということです。
高安はともかく、稀勢にはデメリットが大きく効いているように見えますので、出稽古を控え、部屋に篭って稽古することで厳しく自身を見つめ直す、そんな時間が稀勢には必要なのではないかと思います。

部屋に篭っていたとしても、日馬富士などは出稽古に来てくれるでしょう。他の力士と肌を合わせるのは出稽古来訪と巡業と一門稽古の3点で十分かと。

ともあれ、このまま終わる稀勢ではないと信じております。
ゲンの良い九州場所での躍進を期待して、秋場所については筆を置きます。




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Comments (3)

  1. 相撲評論家

    秋場所をやっと見終わりましたが、平幕の力士評だけが気分良く書けるものの、場所の内容は薄かったですね。

    ところで稀勢の里です。
    「相撲」のモノクログラビアページでは豪風戦を褒めてたんですが、あれこそこの場所の稀勢の里の不調を如実に示したものと看做して差し支えないと思いますけど、どうですか?

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      「相撲」、まだ読んでません。これは読まないと。読んでからあらためてコメントします。

      相撲評論家様の総括、読み応えがありました。とくに逸ノ城評には唸りました。やはり逸ノ城は右ですよね。来場所の各力士の対策を楽しみにしたいところです。

      Reply
    2. 甚之介 (Post author)

      「相撲」本屋でチラ読みしましたので、あらためまして返信。

      贔屓としては記事に書かれているように「攻め急がなかった」としたい一番でしたが、その実は「攻め手を欠いていた」のだと思います。

      その意味では4日目の照ノ富士戦が印象に残ってまして、左四つ充分かつ相手に上手を与えない組み手を得ながら苦戦の様相となったあの取組、テレビ桟敷では照ノ富士の抗戦を褒めたものですけれども、その実は貴記事で看破されておりますとおり「引きつけがまるでなく」「信じられない取り口を示し、四つ身の型のなさを露呈した」稀勢の里の不調を如実に示したものでした。

      根深そうな不調ではありますが、贔屓としては左四つ充分で無双となる相撲の型を取り戻してほしいと願ってます。

      Reply

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