初場所序盤感想

初場所序盤の5日間を終えましたので、恒例の序盤感想と中盤戦展望を述べてみたいと思います。


まずは全体感想から入りますが、初日が天覧相撲だったことも影響しているのでしょうか、とても引き締まった相撲内容が多いことに嬉々としております。

特筆すべきは初日から三日目の後半戦まで幕内の取組における「待った」が無かったこと。(どの取組で途切れたかは忘れましたが確か大関戦)
立合の駆け引きが無くなったわけではありませんが、それに全精力を注ぐかのような力士は皆無であり、変化(気味)の立合も含めて合気の成立しない立合はほぼ見当たりません。

とても良い傾向なのですが、審判部があれだけ小姑化して求めても是正されなかった立合の乱れが1回の天覧で是正されてしまったかのように思えてしまい、天皇皇后両陛下のご威光に感服すべきなのか、審判部の指導力を疑うべきなのか、力士の心構えを問うべきなのか、いささか混濁した感情が渦巻いてます。

ともあれ、このまま気風の良い取組が中盤戦以降も続いてくれることを願っております。

もうひとつ、全体感想としてはチョイネタになりますが、懸賞幕について。
結びの一番に懸けられているベルばらオスカル懸賞幕が話題になっております。

まー、あれだけド派手な懸賞幕ですと、NHKによってカメラが引かれたり、力士情報のテロップでブラインドをかけられたりしても分かります。「あ、オスカルだ」ってね。

受信料収入で放映している建前のNHKとしては企業広告にあたる懸賞幕を映すのはマズイってことでそういうことをするのでしょうが、今や記者会見におけるバックボード広告は当たり前ですし、野球やサッカーの試合を筆頭にスポーツ中継で広告を避けてライブ放送することは不可能。そんなことに拘っていたらサッカーJリーグのユニホームなんか広告まみれですから放映できないじゃないですか。

そう考えるなら、懸賞幕もフツーに映して良いのではないですかね?
横綱大関や人気力士の取組で何枚の懸賞幕が掛かるかというのは多くの人が興味あるところであり、実況アナも率先して伝えてますよね。なのに映像だけ不自然に懸賞幕からフォーカスを外すというのは、いかがなものかなぁと思うのです。


では、各力士評。


先場所優勝した鶴竜、場所前は堅調ぶりが伝えられておりましたし、土俵際が危なかった二日目の松鳳山戦も含めて理詰めの(本来の意味での)厳しい攻めが顕著であり、今場所の主軸は鶴竜だなぁ…と思っていたら、四日目の御嶽海戦で悪癖の引きを見せて墓穴を掘っての金星配給、そして五日目は小結・高安に突き押し乱戦に持ち込まれて崩れ落ちる。やー、驚きました。
主軸どころか脇役に甘んじることになりましたが、センスで相撲を取る横綱ですので、中盤戦で星を落とさぬままに相撲勘の綻びを修正できれば、終盤戦の展望が一変します。取組相手を九分九厘予想できる東の正横綱という地位がその点で効果を発揮してくれることを祈ります。


先場所優勝次点で昨年の最多勝力士である稀勢の里は、初日宝富士、二日目玉鷲と立合に外連味のない当たりやすい相手であったことも幸いとなったのか、立合の踏み込みが反応も歩幅も理想的な形になっており、場所前に囁かれた右足の不安を忘れてしまいそうなくらいの強い攻めが際立ってます。
とくに玉鷲の右喉輪押しを無効化した左おっつけは左足の踏み込みとの相乗効果で破壊力が増しており、その威力は今後の取組で右四つの対戦相手がケガしないようにと祈ってしまうほど。ここ数場所では最も状態が良いのでは?
また、四日目は松鳳山に中に入られて後退したものの、退き足の動きもよろしく、俵まで足1つ分残しつつ廻り込んでの左突き落としで難を逃れるあたり、(玉治郎の廻し軍配も含めて)今のところ土俵の神様も味方してくれてますね。
まずは無傷のまま「得意の」(←ここ大事)横綱大関戦へと突入してほしいものです。


昨年の最優秀力士賞(報知)受賞者である日馬富士は、二日目の御嶽海戦では不用意な出し投げで呼び込み、三日目の松鳳山戦では張り手からの左上手取りを読まれての両差しを許すなど、らしくない墓穴の掘り方で連日の金星配給をやらかしてしまいました。故障個所である両足首の状態も心配ですが、相撲勘の鈍さが気になります。
本来は状態が悪いなら悪いなりに自分の相撲を取れる横綱ですけれども、五日目の隠岐の海戦で右足太ももの裏を痛めたという情報もあり、やはり心配です。なんとか休場することなく土俵を務めてほしいと願ってます。日馬富士の土俵入りは本場所に欠きたくありませんからね。


今年は魁皇の持つ史上最多勝利記録の更新を目標にしている白鵬ですが、持ち前の安定感が戻り、ここ数場所で見せていた斜陽感は今のところ感じません。
三日目の御嶽海戦の立合で見せた右を固めて当たっての左上手取りなどは円熟味の感じられる技芸であり、思わず見惚れてしまいました。
ただ、二日目の宝富士戦などのように、圧されつつも展開力で凌ぐ相撲を平幕相手に取らざる得ないところ、もはや絶対的な強さが戻ることはないのだろうなぁとも思うのです。
この白鵬に対し、鶴竜と稀勢の里がどういう相撲を取るのか?という視点で終盤戦を観られたなら、この上ない喜びです。


豪栄道は腰を痛めているらしいですね。
三日目の高安戦。対戦成績の悪さもあるのだろうけれども、高安の左差し手を嫌うあまりに後手後手となり、大関の格を自ら捨てたような相撲で負けたのにはガッカリさせられました。
また、対戦相手は失念しましたが、豪栄道が出し投げを鮮やかに決めた一番がありました。出し投げスキーな私は狂喜したものですが、解説は「寄って出るべきところなのに安易だ」と評してました。要は勝ち急いでいるということであり、高安戦も含めて腰痛に対する不安ゆえのことなのだと思います。
腰痛を抱えての序盤2敗は厳しいですね。カド番を逃れられたら御の字かと。


琴奨菊と照ノ富士について語るのはツライなぁ。やめときます。
豪栄道も含め、4大関中3名までもが序盤戦を終えた時点で勝ち越しを目標とせざるえない現在の状況は、観るのも語るのもツライですね。


関脇以下はピックアップ。


まずは小結の高安から。
先場所は膨らみ過ぎた体を持て余して負け越した高安でしたが、今場所はやや引き締まって体のバランスが良いように思えます。
対戦相手が横綱だろうが大関だろうが鉄面皮で変わらぬ相撲を取る高安。土俵上の振る舞いがいつもより増して堂々たるところに自信が覗え、1横綱2大関を倒しての白星先行にも高揚感はありません。横綱大関戦を終えてからの中盤戦以降が楽しみです。


遅咲きの新関脇・玉鷲、先場所の脱皮はホンモノであったようで、力強さは先場所と同様。相手力士は怖いだろうなぁと思います。
中立親方の解説によると、以前は両手で押していたものを、左から絞っての右押しと、右から絞っての左押しを、相手力士の取口によって使い分けていることが効を奏しているのではないかと。


御嶽海、序盤で初金星を含む2つの金星は立派。
ただガムシャラに突っ込んでラッキーで勝ったわけではなく、日馬富士戦も鶴竜戦も針の穴のようなピンポイントの勝機をワンチャンスでものにしている点でクレバーであり、嘉風の相撲と同じ香りを感じさせます。
自身最高位でこれだけの仕事をやり遂げたので終盤の疲れが心配ですが、新三役昇進と三賞受賞をモチベーションにして星を積んでほしいものです。


新入幕の(佐藤改め)貴景勝が借りてきた猫のような状態ですね。先場所はあれだけの闘志を見せていたのにどーしたの?
負けるにしても負け様がよろしくない。中盤で盛り返せるようにガンバレ。


番付を落とした嘉風が家賃安らしく元気。吊り落としにビックリw
中盤から上位陣と当てられるでしょうけれども旋風化を期待。


蒼国来も元気でなんと土付かず。技のデパート化していて面白いのですけれども、特筆したときに限って中盤に中だるみするのでまだ褒めないでおきます。A^^;


土付かずといえば、貴ノ岩と佐田の海も土付かずの5連勝とのことだけれども、2人とも番付が家賃安なだけかと。


大砂嵐が幕尻で戻ってきました。
十両で土俵際の逆転方法を会得したらしく、俵に詰まってからが楽しい。腕力の使い方としては嬉しい変身。注視したい。


いつもながらまとまらないまま筆を置きますが、中盤戦も充実の土俵をと期待しております。




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