平成28年の稀勢の里

私の贔屓力士である稀勢の里の平成28年を振り返ってみますと、2行で尽きます。
春場所と夏場所は抜群の安定感で下位力士を蹴散らしたけれども横綱に敗れて優勝次点に終わった。
九州場所は三横綱を含む対戦した役力士全員に勝ちながら平幕に3つも星を落として優勝次点に終わった。

こう書いてしまうと、稀勢の里が大関の地位に安住しているかのように感じてしまいますが、2場所連続で土付かずのまま終盤戦入りしたことが初めてなら、三横綱総なめ&対戦した役力士全員に勝利したことも初めてのこと。

三十路に入った大関であることを考えるとためらいを覚えるのですけど、これを「成長」と呼ばない理由もまた見つからないのですよね。じんわりじんわりと成長を重ね続ける稀勢の里の歩みは鈍牛どころか蝸牛のごとしですが、それさえも愛でるようになった自分に驚いてます。

今年は弟弟子の高安も大関の声がかかるまでに成長しました。
千代の富士と保志(後の北勝海)、武蔵丸と武双山&雅山、若貴と貴ノ浪、そして日馬富士と照ノ富士といった前例のように、高安が稀勢の里を横綱に押し上げ、稀勢の里が高安を大関に引き上げる、来年はそんな兄弟弟子の関係であってほしいと切に思います。

来年の稀勢の里ですが、対戦する力士が立合変化を選択しづらくなる立合の間と呼吸、左おっつけ右ハズ押しで相手の体勢を崩してから相撲の流れの中で左四つを得る相撲の完成度を上げること、左差しから先に得る定石の他に右上手を先に得た場合に備えて上手芸を向上させてほしい、以上の3点を望みたい。

ここで「来年こそ賜杯を抱くことが命題」と言わないところに、大相撲を武芸として楽しむという私の観点が表れてますが、その観点で飽くことのない定点観測対象という意味において、良くも悪くもこちらの期待を裏切る稀勢の里という力士はホント面白いのですよ。

おっと、いかんいかん、言霊ことだま。
平成29年の年間最多勝と年間最多優勝と年間最優秀力士は稀勢の里です。




今回の記事がご参考になりましたら応援クリックをお願いします。
にほんブログ村 格闘技ブログ 相撲・大相撲へ

Comments (2)

  1. t-m

    甚之助さん、こんにちは。
    以前「稀勢の里は優勝ゼロで年間最多勝獲得」時にコメントした、
    大相撲FANのt-mです(=゚ω゚)ノ

    昨夕18時過ぎにNHK放映の「大相撲この一年(平成28年)」を拝見しました。
    「稀勢の里を横綱にする会」会長・北の富士さん、副会長・舞の海さん、
    そして藤井康生NHKアナ等、お馴染みの大相撲解説者らが出演されてましたね。

    しかし此処まで来ると、この御三方を含め日本相撲協会の爺達らの
    「何が何でも稀勢の里に幕内初優勝と横綱昇進を」の執念が
    本人以上に物凄いとしか言いようが有りません(苦笑)
    昭和の大横綱・北の湖理事長が臨終間際まで理事長職に拘ったのも
    「稀勢の里の優勝と、横綱土俵入りの姿を見る迄は絶対に死ねない」
    という執着心だったらしいとか…( ;´Д`)

    でも稀勢の里自身はこの周囲から沢山の期待を、一体どう考えているのか??
    まさか「万年2位でも構わない」「横綱には成りたくない」とは思ってないでしょうが…(´・ω・`)
    ただかつて「史上最強の関脇」と言われ、大相撲歴代初の
    平幕優勝を二度果たした、あの琴錦関こと現・朝日山親方は
    「現役時代本気で大関を目指してはいなかった」
    「自分は関脇のままで良いと思っていた」と白状したそうです…(~_~;)

    現役引退後に稀勢の里は、この状況を実際どう感じて居たのか、
    自身のホンネを是非聞いてみたいですよね(^_^;)

    Reply
    1. 甚之介 (Post author)

      t-mさん、コメントありがとうございます♪
       
      私の個人的見解としましては、稀勢の里は琴錦と逆のタイプではないかと思ってます。
      師匠の隆の里の鳴戸が「類稀なる勢い」を願って稀勢の里の四股名を授けたとたん、番付を上げるのが鈍牛の勢いと化したことを筆頭に、周囲の期待に過剰に反応しすぎてバタバタしているのではないかと。
       
      齢30を超えて、ようやく自分を冷静に見られるようになって、本当の力を発揮し始めるかもしれません。無欲の欲という禅問答への答はもうすぐ出ると信じてます。(^^)v

      Reply

t-m へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください